2017年8月2日水曜日

マスコミが取り上げなくなって風化しないように放射線被曝の再確認

 福島第一原発事故が、マスコミが取り上げなくなって国民の記憶から風化しつつあります。
 放射能の健康被害について再度認識をするために以下の記事を読みました。

放射線被曝の誤解、「年間100ミリシーベルトまで安全」は本当か?
http://diamond.jp/articles/-/137004
2017.8.1 坪井賢一:ダイヤモンド社論説委員 ダイヤモンド・オンライン

福島第一原発事故から6年と5ヵ月が経過した。原発立地周辺の一部で避難解除が進む一方、茨城県大洗町では日本原子力研究開発機構(JAEA)作業員の被曝事故が起きるなど、放射線被曝に関する問題が改めて注目されている。しかし私たちは、放射線に関する正しい知識をちゃんと身に着けているだろうか。現状では、放射線被曝の「線量限度」について、正しい認識の下で報道しているとは思えないメディアも散見される。キーとなる3つの数値の分析を通じて、「線量限度」の正しい読み解き方を考えよう。(ダイヤモンド社論説委員 坪井賢一)
大洗の作業員被曝で注目、
累積放射線量100mSvのリスク
 茨城県大洗町のJAEA大洗研究開発センターで6月6日に起きた作業員5人の被曝事故で、JAEAの発表は「プルトニウムを大量被曝」(6月7日)、「内部被曝はなかった」(6月9日)、「やはり内部被曝はあった」(6月19日)と二転三転し、ようやく内部被曝の放射線量の推計が発表されたのは7月10日だった。
 この記者発表によると、今後50年間、内部被曝が継続した場合、予想される累積放射線量は100mSv(ミリシーベルト)以上200mSv未満が1名、10mSv以上50mSv未満2名、10mSv未満が1名だそうだ。そして、「100mSvで増加するガン死亡のリスクは0.5%」と説明されている。100mSvが重要な指標であることがわかる。
 福島第一原発事故から6年と5ヵ月が経過し、この3月31日と4月1日には浪江町や飯館村などで避難解除が進んでいる。避難解除の要件は、政府によってこう規定されている。
「空間線量率で推定された年間積算線量が20mSv以下になることが確実であること」(2015年6月12日原子力災害対策本部決定、閣議決定)。
 年間20mSvは、ガン死亡リスクが0.5%増加する100mSvの5分の1だ。5年で100mSvに達してしまうが、線量は今後、確実に減少するので、その5年が10年に伸び、やがて20年、30年になるという予想だろう。
 福島第一原発事故で広範囲に飛散し、東日本各地で除染作業の続いたセシウムは確実に減少している。事故から6年以上経過したことも大きい。
 降下したセシウム134と137の数量比は1:1だという。三重大学の勝川俊雄准教授によると、セシウム137の半減期は30年だから6年経過してもなだらかに減少しているだけだが、半減期2.06年のセシウム134は急速に減少し、3年で3割近く減っていた。それを前提に考えると、両セシウム総量の半減期は30年よりはるかに短い6年になり、2017年3月の時点で半減していたことになる(このことは2011年7月1日付DOLレポート「除染を急げば大幅に放射線量は減少する 市民の健康を守れるのは自治体」で書いた)。
 セシウムの総量は6年で半減したはずだが、今後は半減期の長いセシウム137の影響でなだらかに減少していく。
1mSvは平時の基準、
20mSvは短期的な上限
 避難解除の要件は年間積算量で20mSv以下になることだが、もっと重要なのは、環境省の基準では、年間1mSvが公衆被曝の上限だということだ。
 年間20mSvと1mSvでは20倍の差がある。1mSvは平時の基準であり、20mSvは事故後に許容すべき放射線量の短期的な上限である。これから可能な限り早く1mSvへ下げなければならない。これは筆者が主張しているのではなく、ICRP(国際放射線防護委員会)のガイドラインに基づく政府の考え方である。
 年間20mSvは、避難する下限の基準でもある。原発事故後には、年間20mSvを時間あたりに換算した毎時3.8μSv(マイクロ・シーベルト)以上の放射線量を観測した地域で避難が行なわれた。この換算値は、単に時間数で割ったわけではない。屋外活動を8時間として換算した数値である。そして、同様に年間1mSvを時間当たりに換算した毎時0.23μSv 以上の市町村を除染対象地域としていた。
 環境省は除染対象地域を大きく2つに分けていた。政府が直轄する「除染特別地域」と、自治体が除染する「汚染重点調査地域」である。「汚染重点調査地域」の市町村数は、岩手県(3)、宮城県(9)、福島県(40)、茨城県(20)、栃木県(8)、群馬県(10)、埼玉県(2)、千葉県(9)の合計101だった。これらの地域は放射線量を毎時0.23μSv以下にするよう自治体に指示され、ほぼ達成されている。しかし、除染後の放射性廃棄物の処理は進んでいない。ゴミ焼却場の近くに一時貯蔵されているだけだろう。30年程度の中間貯蔵に移すとされているが、各地の中間貯蔵施設の選定は現在も道半ばである。
 一方、基本的には前者の「除染特別地域」である福島第一原発から20km圏内の「警戒区域」、および放射性物質が大量に降下した北西方向の「計画的避難区域」9市町村の除染は政府が直轄で行なってきた。2013年時点で「警戒区域」と「計画的避難区域」は3つに再編された。まず、年間被曝量が50mSvを超える「帰宅困難区域」で、帰還は当面不可能だ。次に年間20~50mSvの「居住制限区域」、そして年間20mSv未満の「避難指示解除準備区域」である。
 政府直轄除染の対象地域は「居住制限区域」と「避難指示解除準備区域」の市町村だ。除染の数値目標は、ICRPの「2007年勧告」に準拠し、2013年度(2014年3月)までに「居住制限区域」は年間20mSv以下へ、「避難指示解除準備区域」は「長期的に年間1mSv」以下、つまり毎時0.23μSv以下にする、と2011年に決まっていた。
 しかし、そう簡単には放射線量は下がらない。そこで、年間20mSv以下に減少することが確実であると認められた地域は避難解除とする、と要件を緩和したのが2015年6月12日の閣議決定だった。
放射線量の限度は?
キーとなる「3つの数字」
 以上で、放射線量の限度を考える上でキーとなる「3つの数字」が登場している。
 累積100mSv、年間20mSv(毎時3.8μSv)、年間1mSv(毎時0.23μSv)である。もう一度整理しておこう。
・累積100mSv……累積100mSvでガン死亡のリスクが0.5%上昇
・年間20mSv(毎時3.8μSv)……これ以下に下がることが確実な場合は避難解除
・年間1mSv……一般公衆の被曝限度線量
 ICRP「2007年勧告」による公衆被曝の許容量である年間1mSvはだんだん緩くなり、いつのまにか、「100mSvまでは安全だ」ということになってしまった。
 たとえば、「『20ミリシーベルト帰還』へ安全指針」と題した「読売新聞」(2013年3月11日付1面)の記事では、「政府は長期的な目標として1ミリシーベルトの除染基準は維持する。一方で新たな指針は、年間積算線量が5ミリシーベルトや10ミリシーベルトなど、線量の段階ごとに、安心して生活するために必要な対応策を示す。国際放射線防護委員会(ICRP)は、年間積算線量が100ミリシーベルトまでなら健康への影響は明確に検出できないとしている。病院の放射線診断では1回に約7ミリシーベルト被曝することもある」と書かれている。
 記事では「新たな指針」が出ることになっているが、その後出ていない。ICRPは公衆被曝の限度は年間1mSv、事故後は1mSv~20mSvに拡大するが長期的には1mSvとする、という指針を変えていないからだ。この「読売」の記事で間違っているのは、「年間積算線量が100ミリシーベルトまでなら健康への影響は明確に検出できない」と書いている箇所だ。これは生涯にわたる累積線量が100mSvまではガンによる死者数が明確ではないということを勘違いして書いたのだろう。年間100mSvは明らかな誤りである。「読売新聞」の記事データベースで確かめたが、修正されていなかった。
 また、「日本経済新聞」(2013年3月12日付2面)は「帰還基準線量緩和へ」へと題してこう報じている。「原発周辺では、一度の除染で5~10ミリシーベルトまで放射線量を減らした後に作業を繰り返しても、1ミリシーベルトまで低下させるのは困難なことがわかってきた。(略)1ミリシーベルトの目標は、前民主党政権が国際放射線防護委員会(ICRP)が示す1~20ミリシーベルトの下限を採用した経緯がある。一方で放射線の影響による発がんリスクは、100ミリシーベルト以下なら喫煙に伴う発がんリスクと差はないとされる」。
 この記事でも、年間1~20mSvと生涯累積100mSvの時間(期間)を混同していることに注意しよう。
「年間」と「累積」は違う
100mSvをめぐるメディアの誤解
 これらの記事を読むと、年間1mSvなんか大したものではない、現に健康被害は何も起きていない、年間20mSvならぜんぜん問題ないと思われるかもしれない。
 最近も、「読売新聞」は2017年2月9日付の社説で「放射線審議会 民主党政権時の基準を見直せ」と題してこう書いていた。「除染に関しても、民主党政権下で、実質的に年間1ミリシーベルト以下とする目標が設けられた。/科学的には、100ミリシーベルト以下の被曝による健康への影響はないとされる。国際放射線防護委員会(ICRP)は、これに余裕を見込んで、20ミリシーベルト以下で避難措置を解除し、長期的に1ミリシーベルトを目指すとの考え方を示している」。
 以上の新聞報道では100mSvまでは安全だということが強調されている。しかも、年間100mSvまで安全だと誤解している節もある。
 日本の自然放射線量(空気中のラドン、大地、食物などからの放射線量)は、年間1.4mSvだとされている。年間1.4mSvは平均的な推定値である。平時の関東地方の空間放射線量は、毎時にすると0.04μSvくらいだ。除染基準の0.23μSvは平時より5倍高いことになる。
 また、「読売」や「日経」の記事で登場するレントゲン写真などの医療被曝が大きいことも事実だ。つまり、年間1mSv自体、危険な数値ではない。そうではなくて、この被曝が医療のように便益のある計画的な被曝なのか、原発事故のように意図せざる被曝なのか、という違いを押さえておかなくてはならない。この違いを混同していると線量限度の数字を誤解することになる。
ICRP「2007年基準」の正しい読み方
 ICRPは1960年に一般公衆の線量限度を年間5mSv程度とした。この基準が長く続いたが、チェルノブイリ原発事故(1986年4月)を経て、1988~90年に一般公衆の年間被曝許容量を1mSvまで下げている。この基準が現在も続いている。
 一般公衆とは、放射性物質を取り扱う作業者(つまりプロ)と異なり、意図せざる被曝を受ける市民のことである。作業者の場合は、報酬を得て計測しながら被曝(計画被曝という)するので、一般公衆の意図せざる被曝とは区別される。一般公衆の場合、医療放射線などの計画被曝を除き、原発事故や核戦争などによる意図せざる被曝の上限を年間1mSvとする、という意味である。つまり、医療被曝と原発事故による被曝は明確に区別されている。
 しかも、内部被曝はカウントされていない。日本では現在、意図せざる内部被曝も年間1mSvを上限として食品のセシウム137含有量を規制している。
一般にはわかりづらい
ICRP「2007年勧告」を解説
 ICRPは2007年に「勧告」を大きく改定した。基準を変更したのではなく、原発の重大事故や核攻撃を受けた場合の緊急事態を想定した数値を発表したのである。ICRP「2007年勧告」は邦訳が出版され、現在はウエブで無料公開されている。「1990年勧告」に比べ、被曝対象者の分類などが細かくなり、事故や核戦争を想定した緊急事態時の対応が記されていることなどから、非常に分かりにくくなっている。文章も難解なので、ここでは重要なポイントだけを、中央放射線審議会の中間報告から抜き書きする。これも2011年と2013年の筆者のレポートで紹介したが、もう一度簡略に書いておく。
ICRP「2007年勧告」のポイント
【放射線防護の生物学的側面】 
・確定的影響(有害な組織反応)の誘発――吸収線量が100ミリ・グレイ(グレイはシーベルトとほぼ同じ)の線量域までは臨床的に意味のある機能障害を示すとは判断されない
・確率的影響の誘発(がんのリスク)――LNT(Linear Non-Threshold……直線しきい値なし)モデルを維持
●筆者による解説……100mSv以下だと特定の機能障害は見られないという。累積100mSv以上の短期集中被曝で確定的影響が出るという意味だ。確定的影響とは、脱毛、白血球の減少、白内障などの明らかな病変である。一方、長期にわたる低線量被曝でも累積100mSv以上で影響が出る。これを確率的影響という。年間20mSvだと5年で100mSvに達する。年間1mSvならば100年である。1mSvの根拠は、100歳まで生きたとして年間1mSvを上限にする、ということだ。実際には、内部被曝、医療被曝、自然放射線などもあることに注意されたい。100mSv以下の確率的影響は、閾値(しきいち)はないとするLNTモデルを想定している。ガン死亡のリスクは、放射線被曝ゼロから線量率に比例して直線的に上昇するという考え方だ。すなわち、可能な限り被曝を避けるべき、という発想である。
【線源関連の線量拘束値と参考レベルの選択に影響を与える因子】
・年間1mSv以下――計画被曝状況に適用され、被曝した個人に直接的な利益はないが、社会にとって利益があるかもしれない状況(計画被曝状況の公衆被曝)
●筆者による解説……非常にわかりにくい表現だが、事故などで公衆が意図せざる被曝状況にあり、被曝を避けなければならない、しかし、事故は起きてしまったので、年間1mSvまでなら社会活動上の利益があるので許容する、という意味である。
・年間1~20mSv以下――個人が直接、利益を受ける状況に適用(計画被曝状況の職業被曝、異常に高い自然バックグラウンド放射線、及び事故後の復旧段階の被曝を含む)
・年間20~100mSv以下――被曝低減に係る対策が崩壊している状況に適用(緊急事態における被曝低減のための対策)
●筆者による解説……「計画被曝」とは作業者のことである。したがって、この項目を公衆レベルで読むときは「事故後の復旧段階」と「緊急事態」が適用される。つまり、事故直後の「緊急事態」では対策が崩壊しているので、短期的に20~100mSvまで許容、「復旧段階」では一般公衆の被曝量は1~20mSvまで認める、という意味だ。ここから避難解除の要件が生まれたわけである。
「線量限度」を表わす数字の意味を
きちんと把握しておくべき
 累積線量100mSvまで安全だとは、ICRP「2007年勧告」には書かれていない。公衆の意図せざる被曝は可能な限り避けること、事故が起きてしまった場合は、年間1mSvまでは個人が生活上のベネフィットがあるので許容、事故の復旧段階では20mSvまで認めるが、長期的には1mSvが限度、ということである。
 累積100mSvでガン死亡のリスクが0.5%増加することは実証されている。100mSvまでの長期にわたる低線量被曝の場合も、0から直線的にリスクが増加するという考え方を採用する、これがICRPの指針である。
 年間1mSv、年間20mSv、累積100mSv、私たちは、これらの数字の意味を正確に把握しておくべきだ。発表や報道をうのみにしてはいけない。チェルノブイリ原発事故でも、子どもの健康被害(小児甲状腺ガン4000例《死者15人》)が計数として明確になったのは20年後の2005年だった。世代を超えた超長期の健康フォローが望まれる。
(ダイヤモンド社論説委員 坪井賢一)


 100mSvは、私たちが一生かけて浴びる上限です。
 これは、空間被ばくだけですので、食品に含まれる放射性物質による汚染は含まれていまません。
 いまだに「原子力緊急事態宣言発令中」で、食品は100ベクレル/Kgに100倍も甘くなっています。
 さらに言えば、事故前はお米の平均値は0.1ベクレル以下でした。
 日本では食品の産地を気にしていないと、危険な国なんです。

MMC太陽熱温水器
http://item.rakuten.co.jp/mmcsolar/c/0000000110/ 
 入水温度   15℃
 温水器     58℃ 温度差43℃

 太陽光発電
 発電量26.8KW ピーク5.31KW

8月1日(火)
曇り
最高気温(℃)[前日差] 35℃[0]最低気温(℃)[前日差] 27℃[+1]
降水確率(%)   20    30       20    30
時間帯(時) 0-6 6-12 12-18 18-24
   
08/02
  イギリス 英中銀金融政策委員会(MPC)1日目 
7:45 ニュージーランド 4-6月期四半期失業率
8:50 日本 7月マネタリーベース(前年同月比)
10:30 オーストラリア 6月住宅建設許可件数 (前月比)
14:00 日本 7月消費者態度指数・一般世帯 
14:45 スイス 7月スイスSECO消費者信頼感指数
16:15 スイス 6月実質小売売上高(前年同月比)
16:30 スイス 7月SVME購買部協会景気指数
17:30 イギリス 7月建設業購買担当者景気指数(PMI)
18:00 ユーロ 6月卸売物価指数(PPI)(前月比)
18:00 インド インド中銀政策金利(レポレート)
18:00 ユーロ 6月卸売物価指数(PPI)(前年同月比)
20:00 米国 MBA住宅ローン申請指数(前週比)
21:15 米国 7月ADP雇用統計(前月比)

0 件のコメント:

コメントを投稿