2010年6月8日火曜日

ユーロ諸国のたくらみ

 ギリシャを発端に、ユーロが売られ、ユーロ安が進んでいる。
 主要なEU諸国は、国債の暴落は困るが(ドイツだけは国債が買われている)、内心ではユーロ安を求めているのではないか。
 今日のユーロ安は、これまでの実力以上のユーロ高の是正なのではないでしょうか。
 特にドイツの金融当局は、ユーロ圏の国債、ならびにクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を対象に、現物手当てがない空売り(いわゆるネーキッド・ショート・セリング)の一時的禁止措置を導入して、金融市場は大混乱に陥り、周辺のEU諸国には事前の相談が全くなかったことで、EU内での協調体制に対する不安感が台頭する形となり、ユーロ安が加速。
 ユーロが下がっても、原油ももろとも下がれば、ユーロ圏内での輸出入は変わらないですし、実際、ユーロ安で困るのは中国であり日本ぐらいです。

 ユーロ発足以来の対ドル相場をみると、1ユーロが1ドルを下回っていた期間もあったわけです。
     <ユーロレート(毎年の7月初)>
2000年     0.9526ドル
2001年     0.8455ドル
2002年     0.9893ドル
2003年     1.1580ドル
2004年     1.2158ドル
2005年     1.1957ドル
2006年     1.2793ドル
2007年     1.3627ドル
2008年     1.5778ドル
2009年     1.4186ドル
今           1.1923 ドル

 2000年から10年間の経常収支とその年の7月初めのユーロレートの推移がが分かるわけですが、2000年から2002年ごろにかけてユーロの価値がは今より安かった。
 それは、ユーロ圏の経常収支が赤字であったために、それが為替レートに反映していたのではないかと推測します。まただからこそ、その後2005年頃までにかけて経常収支が黒字基調になると、それを反映してユーロの価値も上がったきたわけです。
 ユーロは今までに、0.8ドルから1.6ドルという範囲の中で推移してきたということで、その価値が2倍も変わっていた訳です。
 現在ユーロ安だと大騒ぎしていますが、それでもまだ1ユーロが1.20ドル程度の水準ですから、歴史的にみればそれほど驚くほどの水準ではないということになるのです。
 PIIGS問題でユーロ安となっていますが、ドイツ金融当局は、空売り規制をすることにより、こうした大混乱を予想できなかったのでしょうか。
 市場は即座に反応して、ユーロ安が進んだが、国を動かすプロの金融当局者が、今回の規制により、本気で「金融市場が安定に向かう」と信じていたことは思えないのです。今回の混乱は、ドイツのユーロ安目標の策略ではなかったのないかと素人おやじは思います。
 ドイツは、金融危機を回避するための施策を行うフリをして、この規制に踏み切った。
 ドイツ当局の思惑通り、世界の金融市場は混乱し、そしてユーロ安を招いた。財政的な面で厳しい状態にあるドイツにとって、ユーロ安は財政立て直しに有利、輸出立国であるドイツやフランスなどの欧州先進国の企業はぼろもうけとなり、税収は増大します。
 ドイツやフランスだけではない。周辺のユーロ各国の輸出産業は大きく潤うでしょう、そうなると税収増による財政立て直しが進むシナリオ。
 ユーロ周辺諸国も、確信犯ではないか?ドイツは「協調姿勢がない」「自分勝手」と酷評されているが、今のユーロ安は心地いいはずです。
 ユーロ諸国は、混乱するフリをして深刻化させているが、ユーロ安を背景にしたユーロ圏の景気改善が進むのではないか。
 その一方で、日本政府は、円高に苦しめられて国力低下が起こっているのに、手をこまねいて放置しているのである。
 いつもバカを見るのは国際政治が3流の日本人なのでしょう。

68 予測―前回
08:50   4  日本  国際収支経常収支    13000億円  25342億円
08:50   4  日本  国際収支貿易収支    8719億円  10747億円
08:50   4  日本  国際収支経常収支(季調済)    14241億円  17731億円
08:50   5  日本  マネーストックM2(前年比)    2.8%  2.9%
14:00   4  日本  景気一致指数(CI    102.5  101.5
14:00   4  日本  景気先行指数(CI    102.5  102.7
14:45   5  スイス  失業率(季調済)    3.9%  4.0%
14:45   5  スイス  失業率(季調前)    3.8%  4.0%
15:00   4  ドイツ  経常収支    122億ユーロ  180億ユーロ
15:00   4  ドイツ  貿易収支    150億ユーロ  172億ユーロ
16:15   5  スイス  消費者物価指数(CPI)(前月比)    0.0%  0.9%
16:15   5  スイス  消費者物価指数(CPI)(前年比)    1.2%  1.4%
19:00   4  ドイツ  鉱工業生産(前月比)    0.7%  4.0%
19:00   4  ドイツ  鉱工業生産(前年比)    12.4%  8.6%
21:15   5  カナダ  住宅着工件数
FX投資
ほとんど動けず、自分で決めたレバレッジに近い・・・
AUD/JPY買い74.449売り74.550

2 件のコメント:

  1. 中国株が下落しているのはこの事が原因ですかね。

    管内閣はどのような戦略で対応するのか期待せずに見守るしかないですね。

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  2. TXIさん、こんにちは
    欧州の輸出産業はウハウハのようです。
    中国から儲けを戻すでも、元はドルペッグしていることが今回のユーロ安で発覚していますので、欧州は儲かって仕方が無いようです。
    日本は、もう少し国の利益を考えて動いてほしいのですが、アメリカ様に逆らうとマスコミや検察を使って政権を潰されることは変わりませんね、国民も学習してほしいものです。

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