2010年6月23日水曜日

タンポポコーヒーで消費税を勉強してみる

 ネットで同じようなシュミレーションをしていたのを見たのですが、ちょっと違う見かたをしました。

 タンポポコーヒー加工販売会社を経営しているとします。

 まず、タンポポ屋でタンポポの根を買ってきます。仕入れ価格105円(内税)。
 タンポポの根を焙煎してタンポポコーヒーを作ります。そして販売、小売り価格は210円です。
 タンポポ屋さんは販売したタンポポの根の価格の5%、5円を消費税として納税します。
 そして、タンポポコーヒー加工販売会社が販売した、タンポポコーヒーの価格の5%、10円を消費税として納税します。
 商品とお金が動くたびに、その都度課税するという考え方では、105円で仕入れたときに50円、210円で販売されたときに10円、合計で315円とそれに相当する商品が動いたので、その5%に当たる15円が必要な納税額になる訳です。
 日本の消費税はこのようなシステムになっていません。
 どのようになっているかと言えば、最終的に販売された価格が210円であれば、その途中にどのような取引があったにせよ、最終販売価格である210円の5%、10円が最終的に国が受け取る納税額となっています。
 日本でタンポポコーヒー製造販売した場合、105円でタンポポの根を売ったタンポポ屋さんが5円納税、加工して210円でタンポポコーヒーを売った製造販売会社が10円納税、こうすると、5円余分に納税していることになります。そこでこの5円が「仕入税額控除」という名前で還付されます。
 誰に還ってくるかと言いますと、これはタンポポコーヒーの材料を仕入れた加工会社に返ってきます。タンポポ屋さんが5円納税、加工販売会社が10円納税、控除で5円が私に還付、そうして最終的な納税額は10円になるわけです。
 仕入れの時に、加工販売会社は内税で5円を払っていますので、損得はありません。
 
 タンポポコーヒーを輸出するとします。

 まず、加工用のタンポポの根を買ってきます。仕入れ価格は変わらず105円で同じです。
 そしてタンポポコーヒーに加工して海外に輸出、これを2US$で売ります。(1US$100円としましょう)
 タンポポ屋さんは売ったタンポポの根の代金105円の5%、5円を納税します。
 加工会社は、海外への輸出は免税のため、納税額は0円
 それから、仕入税額控除を忘れてはなりませんね。5円が加工販売会社に返ってきます。
 仕入れの時に、5円を余分に払っていますので、この分が返って来たことになります。この場合、国はタンポポコーヒーの消費税をまったく取らないわけです。
 税法上はまったく問題ありませんね、5円を納税したタンポポ屋さんではなく、タンポポの根を仕入れた時点で消費税を払っている、加工販売会社に仕入税額控除として還付金が回ってくる、仕入れた分だけ還付金が受け取れる、タンポポ屋さんは加工販売会社から内税で消費税分を貰ってそれを納税、加工販売会社は還付金で払った消費税分を返してもらう、そういう仕組みになっているのです。
 ここまで、書いてみて、特に問題が無さそうですが、経団連のお偉方はなぜか消費税アップにご執心です、なぜでしょうか。

・なぜトヨタやキャノンと違って中小企業は不景気なのか?
・なぜ大企業の業績は好調なのに税収は伸びないのか?
・なぜトヨタやキャノンが牛耳る経団連や税調は消費税増税に目立った抵抗を示さないのか?
 と言う言葉は、一杯聞きますね。

 輸出比率が多い企業は、消費税の還付分が多いので消費税を払うことはない、消費税アップになっても普通問題ないわけです。
 免税である輸出が多いと、消費税納税額は少なくなります。
 仕入税額控除による還付金は国内向けであろうと輸出であろうと変わりません。
 その会社だけ見れば、納税額を還付金の受領額が上回る、納税で黒字が発生する、逆転現象に至る場合があるのです。
 ただ、このお金は、企業が下請けに払った消費税分が返ってくるだけなので、損得勘定はありません。
 問題は、あくどい大企業が下請けに、コストダウンの名目でこの消費税分をまけさせると言うことです。消費税が上がっても値上げは認めない、親会社丸儲けの図が出来上がるわけです。
 消費税アップが行われても、「判っているよね、値上げしたら下請け換えるよ」の一言で、消費税分黒字が増えるわけです。
 消費税値上げの危険性は、中小企業の利益を大企業に移転するシステムになりやすいことが判ります。
 タンポポコーヒーの例で判っていると思いますが。最終的にタンポポコーヒーを国内に売ろうが輸出しようが、タンポポの根を売ったタンポポ屋さんは消費税を納税しなければなりません。タンポポ屋さんは還付金を受け取ることなど無く、黙って売り上げの5%を必ず納税しなければならないのです。
 そういうわけで、海外に販路を持たない中小企業、トヨタやキャノンに部品を納入する中小企業は消費税からは逃れられず、還付金で潤う大企業との格差は広がるばかりなのです。
 ちょっと前のデータですが、この消費税納税の逆転現象、還付金受領額が納税額を上回り、企業が消費税によって戻った額は産業界全体で約2兆円、これは消費税納税額全体の約2割、法人税納税額の約2割に相当します。これだけの財貨を収税する代わりに、トヨタやキャノンに還付金の名で供与しているわけです。輸出大企業が業績好調になるわけです。

 大企業の出先機関である政府税制調査会では絶え間なく法人税減税が話し合われています。
 しかし、法人税ではなく消費税となると、途端に態度が変わります。法人税増税はありえないが、消費税増税ならどうだろうか、と検討を始めます。何でかといえば、法人税増税は企業の納税額を引き上げますが、消費税増税が企業の納税額を引き上げるとは限らない、うまく立ち回れば黒字を増やすことになりうるからです。
 消費税分を下請けにまけさせなくても、損はしません。国内の消費が落ち込みますが、輸出企業は国内のマーケットは重要視しない戦略になっていますので、そんなに痛くないようですね。
 消費税が2倍になれば消費税納税額は2倍になりますが、貰える還付金の額も2倍、元から還付金の方が多いトヨタやキャノンからしてみれば、消費税増税は収益を増やす可能性大なのです。
 なんとなく、悪徳商人とお代官様のよう「そちも悪よの」って。
 下請けの会社の負担が増し、国民の納税額は確実に増えます。日本の労働者の70%が中小企業であることを考えると、単純な消費税アップは景気の落ち込みを助長することは間違いないですね。
 この意見は、あくまでも、下請けにコストダウンの名目で消費税分をまけされた企業があるのではないか?の推測で書いています、本当のところは中小下請け企業の社長さんが一番知っていることでしょう。

623
07:45   2010年第1四半期  ニュージーランド  経常収支
14:00   5  シンガポール  消費者物価指数(CPI)(前月比)
14:00   5  シンガポール  消費者物価指数(CPI)(前年比)
15:00   7  ドイツ  GFK消費者信頼感調査
16:30   6  ドイツ  製造業PMI(購買担当者指数
16:30   6  ドイツ  非製造業PMI(購買担当者指数)
17:00   6  ユーロ  非製造業PMI(購買担当者指数)
17:00   6  ユーロ  製造業PMI(購買担当者指数)
20:00   6/12 - 6/18  米国  MBA住宅ローン申請指数
21:30   4  カナダ  小売売上高(前月比)
21:30   4  カナダ  小売売上高(自動車除く)(前月比)
23:00   5  米国  新築住宅販売件数
F X投資
AUD/JPY買い79.800売り80.101
AUD/JPY買い79.500売り79.664

2 件のコメント:

  1. どこかで消費税の仕組みを読んだ覚えはありますが、そのシステムのおかげでトヨタやキャノン等の輸出企業の業績好調の結論にはなっていませんでし。
    どこかのマスコミ報道で消費税の増税に対するアンケートで賛成派がかなりいること読んだことがありますが、消費税のシステムのことや、からくりの結果についての記述は見たことがありません。
    今まで消費税を上げる政策を出した政権は選挙で全て負けていると言うのも読んだこともありますので、参議院選挙で消費税10%が前面に出ると管政権は惨敗になるかも

    返信削除
  2. TXIさん、こんにちは
    所得税や法人税を上げろと言う、世論は税金を払っていない人の意見です。
    同じ税率でも、たとえば所得が10倍であれば、10倍の税金を払っているので、フラット課税にしたほうが平等だとおもうのですがね。
    実際200万以下の人と年金生活者は税金を払っていませんし、生活保護の人は税金を貰っています。
    その辺の人たちに楽をさせろと言うのが、マスコミの世論です。
    フラット課税にしたら、全員が税金を払うので、もっと税金の使い道に関心が行くはずなのですけど。
    消費税UPは、食品、日用品を非課税にすれば上げてもかまわない税金と思いますが、政治家はうまい政策を出せません、みんな官僚が作った施策は庶民のためになりません。
    選挙前に消費税UPを言うと、間違いなく負けます。
    選挙に行く人は、ほとんど税金を払っていないが多い(年金老人)ですから。
    食品、日用品が無税なら、お年寄りは喜んで賛成すると思いますが、マスコミがバカな宣伝するんでしょうね。

    返信削除