G20 数値目標設ける案提示
10月22日 21時11分 (NHKニュース)
先進国に新興国を加えた主要な20か国、G20の財務相・中央銀行総裁会議は初日の討議を終え、自国の通貨を輸出に有利な安値に誘導する、いわゆる「通貨安競争」を避けるため、各国の経常収支に数値目標を設ける案が示されました。
韓国のキョンジュで開かれているG20は、日本から野田財務大臣と日銀の白川総裁が出席して初日の討議が行われました。会議では、自国の通貨を輸出に有利な安値に誘導する「通貨安競争」の問題に関連して、アメリカと、議長国の韓国が、各国の経常収支に数値目標を設けることを提案しました。具体的には、経常赤字や経常黒字を、各国がそれぞれ、2015年までにGDP=国内総生産に対して4%以内に抑えるというものです。この提案では、中国のように巨額の経常黒字を抱える国が基準を満たすためには、通貨の切り上げによって黒字額を抑えることも迫られる可能性があるため、通貨安への誘導がしにくくなるというねらいがあります。この提案に対しては、中国など新興国の一部から反発も予想されますが、調整は共同声明が取りまとめられる23日まで続けられる見通しです。これについて、野田財務大臣は22日夜、記者団に対して、「経常収支は経済活動の結果であり、財政収支を改善させる政府のコントロールとは違うと思う。厳格な数値目標を設けるのはいかがなものかと申し上げた」と述べて、導入には消極的な考えを明らかにしました。
世界は通貨安戦争に突入している。
15年ぶりに円高となっている、日本の輸出企業や中小企業があたふた、それは世界中で通貨安戦争が起こっているからです。
2年前のリーマンショック以来、各国経済は不況となり、どの国も景気刺激のために輸出に有利な自国通貨安を進めている。
ドルと円の関係では、円を上回る勢いで米ドルの価値が下がると、どうしても円高になって行きます。
15年前と違う点は、円が高いのではなく、特定の通貨、米ドル・ユーロが安い、他のアジア通貨では元とウォンなどが安い方向になっている、豪ドルやタイバーツなどは、ほとんど変わっていません。
しかし、アメリカのG20での主張は自分のことは棚上げで、言いたいこと言っていますね。
景気回復に遅れている欧米は自国通貨安を容認して居心地が良い方向へ進めようと画策しています。
先日の日本の為替介入に対抗して、FOMC(連邦公開市場委員会)は追加金融緩和の声明を出して、ドル売り円買いの動きをフォローして対抗している。
中国に対しては、人民元の切り上げを求めている。これに対し中国は元の上昇を抑制するための為替介入を繰り返している。韓国、マレーシア、インドネシア、台湾の中央銀行もかなりのドル買い介入をしている。これは経済戦争なので、日本もアメリカの言いなりになっていると、国民の生活が破壊されて、ひどいことになってしまいます。
自国だけ通貨の価値を抑えて、輸出の振興を図る経済政策はインフレなどの問題が発生して長続きしない。
10月8日にワシントンで開かれたG7では、各国が景気刺激のために輸出に有利な自国通貨安を望む「通貨安競争」の回避に向けて協調することで一致した。 しかし、誰もがG7の協調が効果があるなどとは思ってはいない。
今回ソウルで開かれるG20での主要テーマになっているが、各国は戦争を勝たねばならないので、まとまる会議ではなさそうです。
日本としては、円高を読みこんだ経済金融政策を考え加工貿易のような製造業ばかりに頼った経済を改革する時に来ている。
米国は人民元の切り上げで利益の出る米企業はあるかもしれないが、生活必需品など圧倒的に中国製品に頼っている現状では、それほど米国に恩恵が来るとは思えませんし、庶民の生活は中国の安い物に頼っているので、元高は最初に庶民の生活に悪影響を与えます。
米国が最先端技術開発など世界のトップであるので、まだ持ちこたえるのではないかと思います。
心配なのは、中国へ設計や工場を移転している日本の企業で、この、通貨戦争(経済戦争)に負ければ、日本国内にはパンペン草も生えない、焦土と化す可能性があります。
元ネタはこれ!
G20を前にアメリカのガイトナー財務長官は、G20諸国に以下の内容を送り提案しています。
I am writing to offer some suggestions for our meeting later this week. We are obviously at a moment when the world is looking to the G20 to provide a stronger commitment to work together to address the major challenges to a sustainable global recovery. I know that some of you will want to reserve any substantive agreement until the November Leaders' Summit, but I think we should take advantage of the presence of the central bank governors to try to reach agreement on the broad elements this weekend, and put those in a report to our Leaders.
Building on Pittsburgh's Framework for Strong, Sustainable, and Balanced Growth and Toronto's commitments on addressing sovereign debt sustainability, here are three specific suggestions designed to provide a stronger framework of cooperation on international financial issues:
First, G20 countries should commit to undertake policies consistent with reducing external imbalances below a specific share of GDP over the next few years, recognizing that some exceptions may be required for countries that are structurally large exporters of raw materials. This means that G20 countries running persistent deficits should boost national savings by adopting credible medium-term fiscal targets consistent with sustainable debt levels and by strengthening export performance. Conversely, G20 countries with persistent surpluses should undertake structural, fiscal, and exchange rate policies to boost domestic sources of growth and support global demand. Since our current account balances depend on our own policy choices as well as on the policies pursued by other G20 countries, these commitments require a cooperative effort.
Second, to facilitate the orderly rebalancing of global demand, G20countries should commit to refrain from exchange rate policies designed to achieve competitive advantage by either weakening their currency or preventing appreciation of an undervalued currency. G20 emerging market countries with significantly undervalued currencies and adequate precautionary reserves need to allow their exchange rates to adjust fully over time to levels consistent with economic fundamentals. G20 advanced countries will work to ensure against excessive volatility and disorderly movements in exchange rates. Together these actions should reduce the risk of excessive volatility in capital flows for emerging economies that have flexible exchange rates.
Third, the G20 should call on the IMF to assume a special role in monitoring progress on our commitments. The IMF should publish a semiannual report assessing G20 countries' progress toward the agreed objectives on external sustainability and the consistency of countries' exchange rate, capital account, structural, and fiscal policies toward meeting those objectives.
With progress on these fronts, we should reach final agreement on an ambitious package of reforms to strengthen IMF's financial resources and its financial tools, and to reform the governance structure to increase the voice and representation of dynamic emerging economies.
「今週末の会合において幾つかの提案を致したく、レターを書いています。世界はまさにG20が持続可能な世界経済の回復に向けて協調して取り組むことを、今見守っているのです。
貴方がたのなかには、実質的な合意は11月のサミットまで保留しておきたいという意見の人がいることを私は知っていますが、折角各国の中央銀行の総裁が出席するのでそれを生かし、今週末の時点で幅広い事項に合意し、そして、それをリーダーたちへの報告書に盛り込みべきであると考えるわけです」
「強力で、持続可能であり、そして均衡の取れた成長のためのピッツバーグの枠組み、そしてまた、財政の持続可能性に対するトロントの確約、それらに加えてここに、国際金融問題に関する強固な枠組みを提供するための3つの提案をお示しします」
「第一に、G20諸国は、今後数年間のうちに対外収支の不均衡額を対GDP比で一定の額に減らすための政策に取り組むことを言明する。但し、原材料の主要な輸出国については例外を認めることが必要になるかもしれない。このことは、一貫して赤字を計上しているG20諸国は、持続可能な財政赤字額にまで赤字を減らす中期財政目標を採用することによって、そしてまた、輸出を強化することによって国の貯蓄を高めることを意味する。反対に、一貫して黒字を計上しているG20諸国は、内需の拡大したり、また世界の需要を支援するための構造調整策や財政政策、或いはそのための為替政策を採用しなければならない。
経常収支というのは、各国の政策と同様に他のG20諸国の追求する政策に依存しているために、こうしたことを確約するためには、協調して行うことが必要になる」
「第二に、世界の需要を秩序だった方法で再び均衡化させるために、G20諸国は、通貨安競争や、安く評価された通貨価値の上昇を妨げるなどの方法で競争力を確保するような為替政策を慎むことを確約する。G20諸国のうちで過小評価された通貨を保有し、また十分な外貨準備を保有している新興市場国は、自国の通貨の価値を時間をかけて経済ファンダメンタルズに一致するレベルに調整することを認める必要がある。G20のうちの先進諸国は、為替レートの行きすぎた変動や乱高下を抑えるために努力する。こうした措置が一緒になって、変動相場制を採用している新興国経済への資本の流れが過度に変動するというリスクを減少させるであろう」
「第三に、G20はIMFに対して、我々の誓約がしっかりと守られているかどうかを監視する役割をお願いすることになる。IMFは、G20諸国の状況、つまり対外収支の持続可能性、為替政策の一貫性、資本収支の状況、そして、そうした目標に向けた構造調整政策や財政政策について評価した報告書を半年に1回公表することとする」
「こうした点に関して合意を見た上で、我々は、IMFの財源と財源手段を強化するための、そしてまた、新興国経済の発言権と代表権を拡大させるガバナンス改革のための野心的パッケージに合意することになる」
世界経済は、経常黒字国と経常赤字国がはっきり分かれている。
これをもう少し均衡が取れたものにすべきだというのが、アメリカの主張のようなのです。
しかし、アメリカは市場経済推進している国でですよね、それを修正しようとの発言はおかしいです。
さて、黒字の国はと言いますと、中国、ドイツ、そして、日本。
では、赤字の国は、アメリカですよね・・・・
そして、黒字でも例外扱いをされる国は、原料輸出国?・・・原油輸出国のサウジアラビアなそ、アメリカの金持ちカルテルが牛耳っている国。
工業製品を輸出して多額の黒字を計上するけしからんが、原油を輸出して多額の黒字を計上するのは、間接的にアメリカの金持ちが儲かるので認められるのでしょうか? 論理の一貫性が感じられません。他国に厳しく、自国の利益を最優先させるのはさすがです。
中国とは言っていませんが、「過小評価された通貨を保有し、また十分な外貨準備を保有している新興市場国」って言えば、誰が見てもすぐ中国のことだと分かります。中国は、少々時間がかかってももっと人民元を切り上げて欲しい・・・いや上げろ!って。
一応、自分たち(アメリカとイギリスか?)先進国はと言えば、急激なドル安が起こったりして新興国側に迷惑をかけることがないように努力したいと言っている。
つまり、通貨戦争状態にあるといってアメリカを非難したブラジルに対して、まあまあ、少しは努力するからと、なだめているようです。
締めくくりに、IMFの発言権の要求問題を取り上げているわけです。
新興国側は、IMFの投票権の拡大を求めているわけですが(特に中国)、アメリカの要望を飲んでくれないと、新興国からの要求は実現しないと・・・・・ やっぱりアメリカが自国の利益の為に一人で仕切っているということです。
こんな国の言いなりですと、先が思いやられます。
と、また好き勝手に書いてしまった。