2010年2月1日月曜日

自律回復しない日本

先頃G20にて、野田財務副大臣は、「日本経済は持ち直しつつあるが自律的成長に乏しい」と発言しました。
経済は持ち直しつつあるが自律性に乏しい、ここ20年同じようなセリフを切り返しているような気がします。
日本経済が自律回復出来ないのは、見当違いな成長戦略がその原因だと言われています。
日本政府がやってきた、成長戦略を取らせようとしてきた施策はデフレには通用しない理論とも思えます。
バブル崩壊後、日本政府は幾度となく、景気の下降をくい止めるため莫大な何兆円もの補正予算を組み、公共投資、低金利、補助金、構造改革費、新規雇用対策、新規事業の創設などを唱え実施したのですが、それらはデフレの前にことごとく失敗し、さらなる資産価値の低下と所得の低下をもたらし、日本政府は700兆円超えと言う莫大な借金をしてきました。
バブル崩壊から20年近くになろうとしていますが、今なおこのような馬鹿げた成長戦略を取ろうとする頭の古い老人がたくさんいるのが現状です。
デフレにおいて成長戦略がなぜ自律的成長過程にならないのは、デフレ時の生産増加は国民(労働者)所得の増加が無いことです。
”デフレという消費不足のため、生産過剰になっている市場にさらに生産物を増やす政策を行っている”
デフレは、消費不足の市場です。生産能力に比べ消費額が著しく減じた市場です。
日本の場合、バブルの崩壊という土地資産価格と金融資産価格の崩壊によりお金の委縮が起きました。この崩壊が莫大な借金を作り、その返済のため市場の消費資金を奪いました。
日銀の低金利過剰金融緩和政策でゼロ金利を続け、日本国民が貰うはずの金融資産によるリターン(利子など)を銀行の借金返済、今は銀行の大儲けに振り向け、その施策を続けています。
国民がもらって消費に回すお金を、バブルでギャンブルをして借金を抱えた金融業界(メインは銀行)へ回している訳です。
しかしながら、金融資産の大規模な崩壊なので、製造業日本の生産能力は残りました。
消費額と生産能力の大きな不均衡が生じたのです。これが多くのデフレ現象を生じさせています。
国民からお金の余裕を奪っておいて、デフレ解消は無理!
このような消費が著しく不足した市場では、(デフレ所得線が支配する市場は)何もせずに放っておけば自動的に経済が縮小していきます。
余った、生産力は輸出に回り、しばらくは輸出企業の景気は良かったのですが、リーマンショックでアメリカの消費が落ち込むと、日本の企業は大幅赤字となりました。
輸出企業は儲けが出ているときに、国内労働者にお金を回さなかったつけが回っています。
国内では、だれも商品を買わないのではなく、余分なお金がないので買えないのです。
デフレの場合この生産物の増加は、価格競争をより激烈化させ、付加価値が減じるばかりなのです。
この結果、安い物だけが売れる、中国などで生産した安い物に消費者は目が行きます。
安かろう悪かろうではなく、日本の製造業が日本から逃げ出し、中国へ出かけて行って日本の生産方法・品質管理を教えているので、安く良い製品が輸入されます。
このため生産労働自体が減少して所得が追いつかず、消費が失速しているのです。このためいつまで経っても経済は拡大再生産ません。
それどころか、今の日本経済では税収が増えず、赤字で財政出動した借金がそのまま残ります。
この状態が経済が成長しているが自律性に乏しいという表現で表されるようです。
いざ凪を越えたと言われた2002年から2007年に渡る実質GDPの成長は、外需に大きく依存したものであり、内需を全く増やさず、低所得化させたことは誰の目にも明らかですが、今の政府や官僚はまったく分かっていないので、日本の再生は難しいでしょう。

日銀の低金利過剰金融緩和政策は銀行や生命保険会社にとって、効率の悪い投資先(国債)でも利益が上がるので、日本経済で必要な中小企業やこれからのベンチャー企業へお金が回らず、機関投資家が国債を買い続ける構図!日本政府にとっては国債が売れる→お金を経済投資しないので景気が悪くなる→税収不足→福祉と経済対策のお金が不足→国債発行→金利が上がらないので機関投資家が国債を買うと言うループになっています。
このループいつまで続けられるのか?
日本の借金は国内でファイナンスされているので、問題ないと言うエコノミストがいますが、GDPが右肩下がりになっていく未来は借金だけが増えていきますが、限界は必ず来ます。
預金がマイナスになってきている日本は、国債買おうにも銀行や保険会社にお金がない時期が来ます。
郵貯が政府管理になったのでしばらくはここが買い支えてもつと思いますが、私が年金貰えるまで持つかとても心配です。
今日のイベント
【中国】 
製造業PMI(1月)10:00
【スイス】
SVME購買部協会景気指数(1月)17:30
【香港】
小売売上高(12月)17:30
【ユーロ圏】
ドイツ製造業PMI(購買担当者指数)・確報値(1月)17:55頃
ユーロ圏製造業PMI(購買担当者指数)・確報値(1月)18:00頃
【イギリス】
CIPS製造業PMI(1月)18:30頃
【アメリカ】
個人所得(12月)22:30
個人支出(12月)22:30
PCEデフレータ(12月)22:30
PCEコア・デフレータ(12月)22:30
ISM製造業景況指数(1月)2日0:00
建設支出(12月)2日0:00

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