2010年2月24日水曜日

なぜ日本はデフレから脱却出来ないのか

「デフレの基本的原因は、新興国からの安い工業製品の輸入だ」との議論に対してしばしばなされる反論は、「新興国からの輸入が増えたのは、日本だけの特殊事情ではなく、世界の先進国に共通することだ。それにもかかわらず、なぜ日本においてだけデフレが深刻な問題になるのか?」ということである。
 普通の経済では物価下落が実質貨幣供給量を増やして需要を拡大する。そして、需要の拡大が、物価下落を緩和する。しかし、日本ではこの効果が効いていない。その理由は、利子率があまりに低い水準に落ち込んでいたことである。
 デフレでは「実質残高効果」が上がるのが普通で、日本人の持っている金融資産は増えるが、まず安くなって一番購入する層(子育て、遊びが旺盛)に預金が無いという点が一つ。
 預金を持っている層(ご老人)は、あまりほしい物が無いので購入意欲が低い、実質の「金融資産残高効果」の実感が少ないのと、日本円でしか保有していないので、企業にだけメリットのあるゼロ金利の政策では預金は利子などで目立って増えないので孫にお小遣いをあげる気にもならない。 投資の話になると、私の周りにいるお年寄りは「元本保証なら預けてもいいよ」と言う人ばかりが金融資産を持っている、金融資産は郵貯銀行やメガバンクへ小数点以下の金利のまま置かれ、余ったお金は、預金者に金利を払う必要が無いので国債を買うことになり、全く投資に回らない。
 日本のデフレ論議でこうしたポジティブな効果(デフレが需要を拡大する可能性)が無いのは、自公民が行ってきた、経団連べったりの企業(経済の支配者層)が儲かれば良いと言う政治を行ってきたのが、根底にあると思います。

 デフレに関して経済学の本を見てみますと。
 「実質残高効果(real balance effect)」とは経済学で使われる。
 イギリスの経済学者ピグーと、アメリカ・イスラエルの経済学者パティンキンは、「物価下落は、現金や預金などの名目資産の実質価値を高めることになるため、労働者の購買力の上昇と有効需要の増加を招く」と考えた(このため、実質残高効果は、しばしば「ピグー効果」と呼ばれる)。彼らの議論では、貨幣の実質残高増加が直接に個人消費を増やす効果を持つと考えられている。
 しかし、「こうした効果は、1930年代のイギリスでは働かない」というのが、ケインズ理論の核心だったのである。
 ところが、日本では、ケインズ論争のポイントの1つがここにあったことが、あまり理解されていない。日本では、名目賃金の硬直性(失業があっても、名目賃金が下がって雇用を増やす効果が生じないこと)がケインズ理論の中核だと理解されていることが多い。
 のようなことが書かれています。
 日本でも、金融資産を持っている人に対してデフレの過程でピグー効果が働いたか否かは、実証分析の課題として取り上げ、検証する必要があったはず。
 デフレ論争においても、「実質残高効果があったのか」という内容の議論が必要で、その結果どんな施策をすれば日本の国民にとってプラスになるのかと言う経済施策を現与党と日銀にお願いしたいものです。
 
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24日(水)
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ユーロ圏製造業受注(12月)
米新築住宅販売件数(1月)
米財務省5年債入札
バーナンキFRB議長 半期金融政策報告(下院金融委員会)
ガイトナー財務長官 2011年度予算 議会証言(下院予算委員会)
トヨタ車についての公聴会(下院監視委員会)
ギリシャ、官民合同ゼネスト

FX投資
AUD/JPY 10枚買い82.369売り82.430
下がり方向なので、あまり動けず、金利は7,200円になります。

2 件のコメント:

  1. 今のデフレに対する特効薬がないようね。池田信夫のブログを毎日読んでいるとよくわかります。それと、イソログのFebruary 18, 2010「政治家のみなさんに向けた会計の初歩の初歩」は大変勉強になりました。プリウスの「回生ブレーキ」と同じように本当の意味をしらないで、言葉だけが独り歩きするの実例として大変参考になりました。

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  2. TXIさん、こんにちは
    「政治家のみなさんに向けた会計の初歩の初歩」を読みました、とても判りやすいですね、今後参考にしたいと思います。
    内部保留に課税の話は、政治家はどこまでバカか?このニュースをスルーしたように流すマスコミもバカ?
    税金を支払った後で積み立てている内部留保に課税をするなどというアホな政策を真面目に議論するようになっているこの国のバカさ加減にはあきれます。
    本当に税金払うのがアホらしくなってくる日本です。
     デフレは私のような"リストラおやじ”には大変助かる時代、しかし、儲けを出さないといけない会社は大変な時代、税収も落ち込み、本当に危ない時代になってきました。

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