2010年2月10日水曜日

女性のメタボ腹囲基準値を見直しへ?

メタボ健診:線引き困難 腹囲基準根拠揺らぐ 厚労省、3万人データ解析
 ◇心血管疾患発症リスク
 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策として実施している特定健診・保健指導(メタボ健診)で使う腹囲の基準について、厚生労働省研究班は9日、国内3万人を超えるデータを解析した結果、「最適な値を決めることは困難」とする最終報告を発表した。腹囲が大きいほど発症者は増えたため、研究班は引き続き基準に使うことを提言したが、「線引き」の根拠が大きく揺らいだことで、制度の見直しを求める声が高まりそうだ。
 現在は腹囲が男性85センチ、女性90センチ以上で、血圧、血糖値、血中脂質の検査値のうち二つ以上基準を超えると、メタボと診断される。メタボは腹部に内臓脂肪がたまると、心血管疾患を発症しやすいという考え方に基づき、08年度から全国の健診に取り入れられた。
 研究班は、地域住民を対象に実施している全国の12の追跡調査を総合的に解析した。40~74歳の男女約3万1000人の腹囲と心血管疾患の発症状況を分析したところ、男性は80センチ以上がそれ未満の1・48倍▽85センチ以上1・56倍▽90センチ以上1・70倍、女性は80センチ以上1・75倍▽85センチ以上1・79倍▽90センチ以上1・62倍と、いずれも腹囲が大きい方が発症割合も高かった。しかし、どの数値で区切っても発症者の割合はほぼ変わらず、危険性の高い集団を選び出すのに最適な数値は算出できなかった。
 門脇孝・東京大教授は「腹囲が増加するほど発症の危険性が高まっており、腹囲の重要性は示された。数値については、医療にかける予算や人材が豊富にあれば小さめに、限られていれば大きめに設定するなど、政策的に決める事項と考える」と話す。【永山悦子】
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 ■解説
 ◇抜本的見直し必要
 メタボ対策を目的にした特定健診・保健指導(メタボ健診)が08年度に始まり、メタボ診断基準の腹囲の数値は、常に注目を集めてきた。だが、腹囲を診断基準の必須項目としているのは、日本だけだ。この分野で大きな影響力を持つ学術団体「米国コレステロール教育プログラム」と「国際糖尿病連合」は昨年10月、腹囲を必須項目とせず、他の血圧や血糖値などの検査項目と同列に扱う統一基準を発表した。
 今回の研究班の報告は、「発症の危険性が高い集団を絞り込む腹囲の数値は出せないが、腹囲検査は有用」という玉虫色の結論になった。腹囲にこだわる理由を研究班の門脇教授は「日本には、腹部の内臓脂肪がメタボの主因であるとする数多くの研究成果がある。診断基準を定めた内科8学会も、腹囲を必須とすることで合意している」と説明する。
 一方、大櫛陽一・東海大教授(医療統計学)は「腹囲の最適値が示せないとの結果は、病気の危険性のある人を見つけ出す項目として意味がないということだ」と指摘。「科学的に効果が判断できない施策を実施することは税金の無駄遣い、その健診結果に基づいて医療機関を利用することも無駄な医療といえる」と批判する。
 今回の結果を受け、関係学会は腹囲の基準値の再検討を始めるとみられる。腹囲を必須項目とする日本独自の基準の是非を含め、抜本的な見直し作業が求められる。【永山悦子】
2つ目のニュース、朝日の129日付けでしたが、引用元はすでに削除されています。
 特定健診で使われているメタボリック症候群の診断基準を検証している厚生労働省研究班(主任研究者=門脇孝・東京大教授)の中間解析がまとまった。将来、心筋梗塞(こうそく)を起こすリスクがある人を見分けるのに最も適しているとされた腹囲のサイズは「男性84センチ、女性80センチ」。女性は現行の90センチと大きく異なっており、見直しに影響を与えそうだ。
 現行基準は男性85センチ、女性90センチ。女性のサイズを男性より大きく設定しているのは、世界的に例がない。
 研究は、測定値と実際に起きた病気とのかかわりを調べた初めての全国調査。3万人以上の住民を対象に、腹囲サイズや血圧、血糖値などを測定。その後の心筋梗塞や脳卒中の発症を追跡して、関係を調べている。
 研究班によると、中間解析はこのうち男女1万6千人のデータを使い、心筋梗塞との関係を調べた。基準とする腹囲を大きく設定すると、発症リスクの高い人を見落とす恐れがある。一方、小さく設定しすぎると、リスクの低い人も誤ってメタボと判定してしまうため、見逃しや過剰な判定が最も起こりにくいサイズを計算した。
 この結果出たのが男性84、女性80。腹囲がこれより大きいと、小さい人に比べて心筋梗塞を起こすリスクが男性で2.4倍、女性で1.6倍高いという。
 研究班は、別の分析手法で高血圧や高血糖などを起こしやすくなる腹囲も計算。同じ数値だったという。 (中略)
 研究班は今後、解析対象の人数を増やすとともに、脳卒中とのかかわりも調べる。ふさわしい腹囲が最終的に固まるのは来年以降の見込み。特定健診は当面、現行基準で進められる。
“メタボ”と言うことばが出てきてずいぶん経ちますが、「男女の腹囲の基準値が世界標準から逸脱」、「基になったデータのサンプル数が少なすぎる」、「メタボを基準とすることによって疾患の発症を減らすというエビデンスがない」、「メタボは定義が曖昧で、疾患概念、診断基準として未確立」等の疑問のままスタートしました。
 また予防の効果についても、その有効性は実証されているが、運動や食事療法等を継続的に行うことは困難、健診により患者が顕在化して受診や投薬が増えて、医療費はむしろ増加しています。
 このように数々の疑問点が指摘されているにもかかわらず、このままの政策を推し進めているのは、メタボ対策はあくまで口実であって、本当の目的は、増え続ける高齢者の医療費を分からないように現役世代に負担させることであると思っています。
 75歳以上の後期高齢者を対象とした「新たな高齢者医療制度」では、現役世代は“後期高齢者医療支援金”という名目で、高齢者医療費の4割を負担することになる。
 政府当局は健診の受診率やメタボの改善度という目標の達成状況により、±10%の範囲内で各保険者の支援金を調整(加算・減算)する、というインセンティブを保険者に与えている。
 自助努力を行えば、支援金を減らせることになりますが、また基準を下げて、医療費の負担を若い世代に押しつけるのではないかと勘繰りたくなります。
 現役世代のメタボ度と、現在の高齢者の医療費に関連はないはずで、それにもかかわらず、目標未達の保険者がなぜ高齢者の医療費をより多く支払わねばならないのでしょうか。
 メタボ対策とは、高齢者医療費を穴埋めするための手立てにすぎず、将来の医療費抑制や国民の健康などどうでもよいのではないかと思います。

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