2010年2月5日金曜日

新型プリウスのブレーキ問題2

昨日の続きです、コメントもいただきましたので、追加。

 プリウスマニア系の書き込みサイトを見てみますと”ブレーキ抜け”と言った表現で書き込みがあります。
 100%症状が出る人の書き込みでは「我が家の前の道路には1.5センチくらいの段差があり、減速しながら段差を乗り越え右に曲がりながら、私道に入りますが、100%近くその状態になります。
1メートルは加速する感覚です、確かにブレーキを強く踏み続ければディスクブレーキー効きますが、それは急ブレーキに近い状態です。」
となっていましたので、回生ブレーキの連携と言うよりはアンチロックブレーキの特性についての指摘のようです。
 たぶん、この症状は旧型でも同じことが起こると思います、ただリリース時間が改善(変更)されているのかも知れませんね。
 前に書いた、カーグラフィックのブレーキ性能テストの比較でVWゴルフはアンチロックブレーキを動作させて、止まるには腰が浮くくらい踏み込まないと止まらない(同じ条件でプリウスより1制動距離が長い)と書いていましたので、路面条件によってアンチロックブレーキが動作した時の感覚が問題になっている気もします。
 追突した人は、アンチロックブレーキが動作した時、ブレーキにけっこうきついキックバックがあるので驚いてブレーキを離した可能性もあります。
 条件によっては、タイヤをロックさせた方が制動距離が短い時もあり、アンチロック制御をどのくらいにするかは難しいでしょう、乾燥路でも砂が載った状態や段差、冠水路、雪道、アイスバーンなど、昔の車はそんなもの付いていなかったので、路面に応じてポンピングブレーキとか足アンチロックとかテクニックを使った物です。
 
トヨタの技術サイトから引用
・回生ブレーキ
エンジンブレーキ時やフットブレーキによる制動時には、モーターを発電機として作動させることにより、車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに回収し、再利用する回生ブレーキシステムを採用しています。特に加減速を繰り返す走行パターンにおいてエネルギー回収の効果が高く、フットブレーキ時にはECB(電子制御ブレーキシステム)の油圧ブレーキと回生ブレーキを協調制御して回生ブレーキを優先的に使用し、より低い車速までエネルギー回収を行っています。さらに、バッテリーの入力性能を高めたことで、より多くのエネルギー回収を実現しています。
また、トランスミッションなど駆動系のフリクションロス低減により、減速時に駆動系損失として失ってしまうエネルギーを回収し、これらにより回生量を大幅に増加させました。
 トヨタの技術サイトにけっこう説明がありますが、意外と複雑なシステムでよく考えたなーと感心します。
 回生ブレーキの説明では、モーターを発電機にしてブレーキを掛けていると書いてあります。
 プリウスの場合、モーター以外には同じ構造で高速回転出来る発電機が載っていて、発電はこちらでやっています。 
 プリウスでは、一定速度(約14km/h)以上でアクセルをオフにした場合、エンジンブレーキは作動せずに、 「回生制動(ブレーキ)」 が作動します。 ただし、ある一定の条件下では、一般車同様にエンジンブレーキが作動することもあります。
 その条件は;
(1) Dレンジで、車速が約72km/h以上の時。
(2) Bレンジで、車速が約35km/h以上の時。
(3) バッテリが満充電(BL8の上限)で、回生禁止の制御になった時。
 この特性は、エンジンブレーキ時に発電機が1万回転以上にならないよう、そこまで上がるとエンジンを回転させて、エンジンのコンプレッションロスを使って減速すると理解していますが、トヨタのサイトを見ると「モーターを発電機にして」と書いてあります、この点が理解と違うので?な部分なのですけど。
 プリウスのシステムはクラッチ機構はありません、エンジン・モーター・発電機・駆動軸はギアを介してつながったままで、発電機・モーターを電気制御してギアチェンジのかわりに無段階に変速(遊星ギアCVT)を行い出力を車軸に出力しています。



 モーターは、高効率なDCブラシレスモータ-を交流で駆動する交流同期型を採用し、ネオジマグネット(永久磁石)と積層型電磁鋼板のローターにより、高性能モーターとしています。さらに、永久磁石を最適なV字配置とすることで駆動トルクを向上させ、出力アップを図っています。
 発電機もモーターと同じ交流同期型を採用しています。高出力モーターへの充分な電力を供給するために、発電機を高回転化し、出力を向上。ローターの強度アップなどにより、最高出力可能な回転数領域を従来型の6,500rpmから10,000rpmまで拡大させました。この高回転化により中速域までの供給パワーが大幅に増加し、中・低速域の加速性能が向上。高出力モーターやエンジンとのベストな組み合わせを実現しています。
 面白いのは加速中にも発電してその出力をモーターに回し、低速トルクを発生させ、エンジンは最大効率の回転数で走らせるなどとても複雑な動作をさせていて、未だに他社がまともに量産車を販売できないのは、ものすごいノウハウの固まりだからでしょう。
 前に聞いた話なので、数字があいまいですが、クランクシャフトの角度を検出するのにFA多関節アームロボットのセンサを使い、何万分の1度と言う精度で検出してエンジンを始動させ、始動ショックや揺れを防止しているらしいです。
  
本日のイベント
【日本】景気先行指数(CI)・速報値(12月)14:00
景気一致指数(CI)・速報値(12月)14:00
【イギリス】
生産者物価指数(PPI)(1月)18:30
【ユーロ圏】
ドイツ鉱工業生産(12月)20:00
【カナダ】
雇用者数(1月)21:00
失業率(1月)21:00
【アメリカ】
非農業部門雇用者数(NFP)(1月)22:30
失業率(1月)22:30
FX投資
AUD/JPY10枚買い79.952売り80.062
AUD/JPY10枚買い79.987売り80.089
AUD/JPY10枚買い80.056売り80.184

4 件のコメント:

  1. プリウスの回生ブレーキとは関係なく、インバータでモータを制御するとき必ず回生と言う言葉ができきます。
    回生までは理解できるのですが、回生ブレーキ=回生制御、回生抵抗の原理がどうしても理解できず、
    回りの者に納得いく説明ができる者がいませんでした。
    ネットでぐぐって見て納得できる解説がありません。
    トヨタの技術サイトの回生ブレーキもかなりいい加減です。
    今回は、納得行くまで調べてやっと理解できました。

    ポイントは、
    ブレーキにだまさるな
    回生制動=回生ブレーキを1つの現象として理解せよ
    です。

    できるだけわかり易く納得がいくように説明したいと思います。
    モータは、工業用の三相誘導モータ(インダクションモータ)とします。

    1.モータは、コイルに電圧を印加すると回転します。
    2.回転させたモータに電圧を印加しなくなるとコイルの両端には電圧が出てきます。
      発電機=モータで、電圧を印加するとモータで、印加せず回転させると発電機になります。
      ここまでは、一般の人でも理解できますが問題は次にいきなり回生ブレーキが出てくるので理解できなくなります。
    3.モータの制御は、リレー制御で印加電圧をON/OFFするだけなら回生なんか関係ありません。インバータで制御をする時だけ回生が問題になります。
      リレー制御では、OFFする発電機となりますがこの電圧を利用してブレーキをかけるはしません。
      モータを強制的に停止させるには、コイルに安定した電圧の直流を印加して停止させます。これを直流ブレーキと言います。
      もし、発電電圧をそのまま整流して直流ブレーキの電源とすると、ブレーキがかかるにつれてモータの回転が落ちますので発電電圧も落ちます。
      ブレーキに使う電圧が勝手に変化しては、思ったようにブレーキがかけられません。
      実務の世界では、リレー制御で直流ブレーキはほとんど使われません。自然に止まるまで待ちます。
    4.モータをインバータ制御する場合、インバータが回転中のモータを停止させる方法は、出力電圧を擬似的に低下させて停止させます。
      問題は、印加電圧を低下させるとどうかです。前の説明では、印加電圧をOFFすると発電が始まる説明になっていますが、
      実は電圧を印加してモータを回転させているときでも発電がされています。一般的に印加電圧の方高いので逆流することがありません。
      インバータは、モータの回転数を下げるとある時点からモータの発電電圧が高くなりインバータ側に逆流するようになります。
      これを回生といいます。回生をそのままにするとインバータの電源回路壊れますので、逆流した電圧を何とかする必要があります。
      この回生電圧を消費させる事を回生制動=回生ブレーキと言います。回生ブレーキと言う言葉だけで判断すると大変な事になります。
      回生制御とすれば間違いも減ると思いますが、回生制動と言いますので、単純に制動をブレーキとすると・・・・・
    5.回生を制御するには、発生した電圧を抵抗負荷消費する方法と、他の機器で消費させる方法があります。
      汎用のインバータは、抵抗を使います。この抵抗を回生抵抗とかブレーキ抵抗といいます。

    返信削除
  2. プリウスのモータは、「DCブラシレスモータ-を交流で駆動する交流同期型」とあります。
    言葉から解釈すると、DCブラシレスモータと言うと直流でブラシがないそれを交流で駆動するそれに交流同期型,インバータを使っているようだかは使ういったいどんなモータでだろう。
    前回の解説では、モータを三相誘導モータ(インダクションモータ)として回生の解説をしました。
    モータの種類が違えば回生も異なるのでは・・・・
    これもネットでぐぐると三相誘導モータの部類に入る事がわかります。
    DCブラシレスモータは、交流同期型モータと専用インバータを組み合わせたもので1つのシステムになっています。
    三相誘導モータとのちがいは、回転数の制御(回転角度)を正確行うための仕組みが追加されているかどうかです。

    ネットでぐぐっても1つのHPで全てがわかるHPは見つけ出せませんでした。

    金、土、日は、久屋大通公園で第4回名古屋中国春節祭が開催されます。土曜日に行ってみようかと思っています。

    返信削除
  3. TXIさん、こんにちは
    回生ブレーキの詳しい説明ありがとうございます。
    モーターを発電機にして、エネネルギーを回収する部分がクローズアップされて、中身がよくわかりませんでした。
    プリウスの制御はすごいノウハウの固まりのようですね。
    60kmから回生ブレーキで停止すると、40kmまで加速するエネルギーを回収できるとどこかに書いてありました。

    返信削除
  4. トヨタの技術サイトの「回生ブレーキ」の解説は、何度も読み返すと、回生電圧の発生を多く発生させよれを有効的に使うことによっとものすごい省エネをしてる事がいいたいようですね。
    個人的的には、回生ブレーキは、インバータ制御でモータを減速させると発生する回生現象でインバータが壊れないようにする技術です。回生ブレーキをかけると言うような使い方は、誤解もまねきます。
    ブレーキをかける=減速するとすると、インバータ制御ではで電圧を下げる事を意味します。電圧を下げると、現在のモータの発電電圧と下げた電圧の関係で逆流が発生しないと回生現象が発生しません。したがって、ブレーキをかけると必ず回生現象が発生するわけではありません。
    自動車で使うブレーキのイメージで考えると回生ブレーキはどうしても、従来のブレーキをかけるという表現で使ってしまします。トヨタの解説で、「回生ブレーキシステムを」「回生電圧回収システム」とおき変え、「油圧ブレーキと回生ブレーキを協調制御して回生ブレーキを優先的に使用し」では、「モータの減速制御」に置き換えると少しは良くなると思いますが、根本的には、ブレーキをかけるシステムの話と、ブレーキの動作で減速制御で発生する回生電圧と、アクセル操作の減速操作で発生する回生電圧を有効利用する話をわけずに解説しているのが問題です。
    くどいようですが、誘導モータ+インバータの世界では、回生ブレーキはかけるものではありません。

    返信削除