2009年11月22日日曜日

現政権は日本をどうしたいのか?

 鳩山総理の民主党政権は「国民生活第一の政治」を掲げて与党になりました。
 その政策は社会福祉の拡大、子育て支援、農家戸別所得補償、基礎年金の全額税負担、貧困率の削減、など、お金を配分することを目指している。簡単に民主党の政策を言えば、社会保障をこれまでよりも大幅に拡大しようと言うことです。
 現実に社会保障を拡大するのは、お金のばら撒きをすることで可能ですが、この政策は経済が右肩上がりの時に行えば問題ありません。しかし今の日本は労働配分を減らしてきた前政権の政策を民間の企業が引き継いだままですので、少々GDPが上がっても国民の賃金に反映されないようになっています。
 新聞などでGDPが持ち直したと発表しているが、下げ止まっただけでその中身と言えば、エコポイントとエコ減税によるばら撒きで需要の先食いをして出した数字です。
 わが国の現実は、1990年代以降の持続的な低成長に加え、昨年以来の「百年に一度の大不況」の最中です。この厳しい経済不況のなかで、どうやって福祉の拡大を賄うのかはなはだ疑問。
 民主党が財源とした物は、無駄の排除による埋蔵金の掘り出しで三兆円ほど創出していますが、95兆円にもなる予算と、景気悪化による税収減の中では、焼け石に水にしかなりません。
 社会保障費は一般会計だけでなく特別会計がメインですので、すでに100兆円の支出を超えています。これからの税収は減る一方なのでどうやって今以上のお金を国民から取るのか考えないといけません。

 「今の新政権は、経済成長と政策との関係をどのように考えるのか」、「これから日本は、どういう付加価値の生産で生きていくのか」という部分が気になります。
 鳩山首相の所信表明演説で叫んだのは、「ムダの排除」。たしかに新政権は懸命な努力をして、3兆円弱の予算削減を決めた。
 このオーダーの「ムダの撲滅」では、現実的な財源としては全く役に立たない。努力の方向としては尤もだとしても、「ムダ撲滅」だけでは全然足りないのです。子育て支援や農家戸別所得補償、あるいは「年金の安心化・老後の安心化」によって、内需を刺激し、経済成長を達成する、と説明する政治家もいますが、この考え方にはきわめて懐疑的です。所得が少ないがために消費が少なかった人々が、多少所得が増えたときに購入する品物は、大部分が低価格の輸入品になるでしょう。こうなってくるとわが国の経済の原動力である製造業を力強く後押しする可能性は、ほとんどありません。今より福祉を拡大するというなら、絶対に今以上の経済成長が必須だと考えられます。

 大切なことは、日本がこれからどのような経済ビジョンで生きていくのか、そのビジョンを早く構築して、その健全な育成に向かって教育を行い、雇用を創出し、リターンとして税金を徴収できるようにすることです。日本が今後も長期にわたって製造業をメインとする経済で突き進むことは、もはや不可能でしょう。
 新規起業など試行錯誤を含む努力が必要で、新しいことを起こすのに、リスクをとる覚悟、失敗を許す雰囲気、チャレンジを励ます文化を作ることでしょう。国民も、そういうことを認識し達成できる政党を選べなければ、明るい未来が期待できないとしても自業自得であり、日本の繁栄はここまでとなります。

0 件のコメント:

コメントを投稿