2009年10月26日月曜日

日本航空の赤字は企業年金だけではない

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20091024AT3S2302G23102009.html

「空港整備の特会廃止なら公的資金不要」 日航副社長

 国民新党の自見庄三郎幹事長と下地幹郎政調会長らは23日、党本部で日本航空の竹中哲也副社長と同社の再建問題について協議した。下地氏が「空港整備の特別会計を廃止したら経営はどうなるか」と聞くと、竹中副社長は「年間1700億円の収益増になり、2年続けてもらえば公的資金を入れなくても大丈夫だ」と答えた。特会の財源となる空港使用料や航空機燃料税などが軽減されると仮定した発言だ。(23日 22:01)


ここでなぜ、空港整備特別会計が廃止になると黒字になるのか?調べてみると。
マスコミでは日本航空OBの年金が多すぎ報道が前面に出ていますが、これは庶民にとって話題になりやすい、しかし、水面下にはもっと大きな問題があるようです。

すでに充分な空港数があるにもかかわらず分散投資をして空港を増やしている日本の空港政策が問題のようです。
 国内航空網が完成したという認識は20年も前から言われています。ところが、この間に新たな地方空港がいくつも開港した。凍結した事業もあるが、現在建設中の空港も複数ある。「一県一空港」はほぼ達成され、明らかに空港数は充分である。2000年の『航空法』改正で需給調整規制が撤廃され、航空会社が空港を選ぶ時代なので、地方では利用が低迷している空港は路線廃止など航空会社は赤字路線を減らすはずだが、行政がこれを邪魔しています。
 空港を誘致したい自治体が、実態とかけ離れた需要予測(水増し)を出して空港整備を行う。最近では静岡空港がよい例で、日本航空は搭乗率70%を切ったら自治体から損失分のお金を受け取れるのを条件に運航している(自治体の赤字垂れ流し)。
会計検査院、総務省、市民オンブズマンが、実績が予測を下回った空港の例をいくつも報告しているのに、国民に対して充分な情報公開がない、予測結果を事後に検証できていない。
 いっぽう2001年春に韓国で仁川空港が開港し、東アジアでは1つで充分といわれる国際ハブ空港は、韓国の仁川空港になっています。
、多極分散で地方空港の建設と拡充を優先したために、大都市空港の整備が大幅に遅て今からでは挽回は不可能になっています。現在でも、アジア諸国が大規模国際空港を集中整備しているのに対し、わが国はハブを目指す複数の空港を同時に整備しようとバカなことをやっている。

 分散投資が止まらないのは、空港整備特別会計に一因があるようです。国管理空港で得られた空港使用料等、航空機燃料税の13分の11や財投からの借入金などが空整特会の財源となり、国が一元的に空港の整備・管理・補助事業などを行っており。 日本の空港使用料等(着陸料や停留料など)は世界で最も高い。主要国で燃料税を課税しているのは日米の2国だけで、日本は米国の18倍の税率である。これらの負担は特会の収入としてプールされ、収益性の高い一部の空港から他の空港に内部補助がなされているのが空港使用料が高い原因と航空会社の収益を圧迫している原因です。
 空整特会の構造は分散投資を前提としており、集中投資には向いていない。空港整備は主に利用者と航空会社の高負担によって支えられており、内部補助は空港の経営意欲を減退させ、採算性のチェックをわかりにくくしている。
 特別会計全般に言えることだが、わざとわかりにくくすることで、天下り先の財団法人、企業に税金を流している仕組みが出来上がってしまっているようです。空港整備は国益(国民のため)ではなく一部の既得権益を守ることを重視するので、他のアジアの国みたいな戦略が取れず、アジアのハブ化は到底無理で日本の航空産業は没落していくことになります。

 国内航空網が発展途上にあった過去には、空整特会は機動的な役割を果たしました、しかし、分散投資による空港建設の時代はすでに終わっている。遅きに期したとはいえ、特会の解体が必要となっています。
 そこで、国管理空港については、各空港を1つの独立行政法人とすることを提案する。各空港法人に対しては、空港使用料等の航空収入を独自の収入とすることを認め、自由な料金設定を可能とし、空港経営と滑走路など基本施設の整備に関する責任と権限を委譲する。同時に、『空港整備法』が定める港格と補助率、国内線と国際線の垣根も完全に撤廃する。国主導の空港整備計画を廃止して分権化を進め、受益と負担の不一致を是正しないといけません。

採算のとれない空港はつぶすぐらいの意気込みで進めないとだめでしょう、空港法人はターミナルビルや駐車場など周辺施設から非航空収入を得られるようにする。多くの場合、周辺施設は3セクの運営ですが、空港法人の経営はこれらを含む形態が必要である。空港を1つの街としてとらえ、周辺地域の開発利益を内部化することも、空港経営の重要なポイントだと思います。
 どうしても必要な、離島空港で生活路線の維持や赤字空港の存続が社会的に求められる場合は、自治体の財源で補助すればよいのであって、鉄道や道路で十分な地域は廃港しても問題ないでしょう。

 さて、民主党は「空港整備特別会計」を見直せるか?これができなければ日本航空の存続は無意味になり、早くつぶしたほうがよいでしょう。
 特別会計は既得権益の埋蔵金が一杯あるようです。

本日のイベント
【オーストラリア】
生産者物価指数(PPI)(第3四半期)
【シンガポール】
鉱工業生産(9月)14:00
【ユーロ圏】
ドイツGFK消費者信頼感調査(11月)16:00

0 件のコメント:

コメントを投稿