2010年7月10日土曜日

事業仕分け倒産を色々な過去のニュースで見比べると面白い

やっぱり出た“事業仕分け倒産”第1号 201007081000 / 提供:ゲンダイネット
“事業仕分け倒産”の第1号が出た。ギャラクシーエクスプレス(本社・東京都江東区、資本金4億7270万円)という会社で、東京地裁から特別清算開始決定を受けていたことが分かったのだ。負債額は229億円。
 この会社は、01年に「GXロケット」の開発・運用を目的に設立された。IHIや川崎重工、三菱商事、富士重工など大手企業が出資し、次世代のロケットビジネスに向け、着々と準備を進めていた。
 風向きが変わったのは、昨年11月の事業仕分けだ。仕分け人の蓮舫が「世界2位じゃダメなんですか」と突っ込んだスパコンと同様、GXロケットも廃止判定だった。
 当初計画の4倍近い開発費(約2000億円)を必要としたから、廃止判定も仕方なしだが、JAXA(宇宙航空研究開発機構)を中心に進められた低コストの中・小型ロケットの開発は事実上ストップ。
 09年12月には内閣官房の宇宙開発戦略本部が計画の一部中止を決定し、ギャラクシーエクスプレスはこの瞬間に役割を失った。
「事業仕分けを実施した時点で、こうした倒産劇は予想されました。無駄の排除は必ず痛みを伴うのです。事業仕分け倒産は、今後も不動産分野などで起きる可能性は高いでしょう」(帝国データバンクの中森貴和氏)
 事業仕分けをパフォーマンスだと非難する声もあるが、無駄の排除には欠かせない。痛みの表面化を乗り越えられるかどうかだ。
(日刊ゲンダイ201075日掲載)

  このニュースを見るだけだと、低コストのロケット開発が仕分けで潰されたようにも取れます、ちょっと前に書きました、JAXAの予算関係ではやぶさの予算 は20億足らずです、そちらは、JAXA内部で予算を削っていますが、それを民主党の仕分けのせいにしたようなマスコミの報道があったのいを思い出しました。マスコミは必ずしも真実を伝えない、都合のよいように改ざんして報道してますね。
 では、このGXロケット予算が妥当だったか?調べてみましたら、以下のような情報がありました。
  こちらは、2008年12月に書かれた記事
<宇宙予算>大幅増額 1966億円に
政府は17日、文部科学省が09年度予算編成で要求している中型ロケット「GX」の開発プロジェクトなど宇宙開発利用予算について、前年度比60億円(3.1%)の大幅な増額を認める方向で調整に入った。総額は1966億円となる。来年度を「宇宙基本法元年」と位置付け、宇宙開発を積極的に推進する姿勢を打ち出すため、例外的な大幅増を認める。
GXロケット関連では、第2段に搭載する液化天然ガス(LNG)エンジン技術の完成度を高めるプロジェクトの費用として、前年度比51億円増の107億円が確保される見通しとなった。衛星打ち上げの需要やエンジンテストの成果をみて、10年度以降の本格的開発に着手するかを判断する。
また、災害監視などに対応する衛星の開発費として10億円(前年度比6億円増)、地球環境変動観測ミッション(GCOM)を推進する費用として72億円(26億円増)などを認める。
宇宙基本法は今年8月制定で、内閣に宇宙開発戦略本部が設置された。文科省の宇宙開発利用予算は07年度が対前年度比1.9%増、08年度が同比1.8%増だった。【加藤隆寛】
(毎日新聞 2008/12/18)

 宇宙開発予算が増額になったのは喜ばしい事ですが、GXロケット開発の増額の部分を除けば、今年度比略同額。その上、「きぼう」関連の費用の増加が全体予算を圧迫しますから、惑星探査や天文観測衛星と言った科学技術関連予算はますます厳しくなったというべきでしょう。
 その中でも、GXロケットの開発に、なお、100億円以上を投入する理由が良く判りません。
 GXロケットは、当初、官民共同で、実績のあるロシア製の第一段ロケットの在庫を安く購入し、燃料コストの安い新開発の第二段ロケットを組み合わせ、射場も米国に確保する事で、柔軟な打ち上げスケジュールと打ち上げコスト低減を目指すと言う良い事ずくめのロケット開発で、しかもJAXAの出費は新開発の第二段エンジンのみという虫の良いプロジェクトでした。
 しかしながら、当初簡単に開発できると思われていた天然ガス燃料エンジンの開発が難航し、つれて開発コストも高騰しました。加えて、当初は、安く買い叩ける筈だったロシア製第一段エンジンは別の会社が購入してしまった為、別のロシア製エンジンを積んだアトラスロケットを高値で購入しなければならない事になってしまいました。この様に当初の目論見は完全に外れ、お題目も雲散霧消してしまっており、安全保障つまり情報収集衛星打ち上げとしてしか使えない、高コストロケットになってしまっています。
 少し考えれば判りますが、アトラスロケットの第二段を値段の高いエンジンに取り替えた上で、アトラスロケットの打ち上げを日頃行っている射場から発射するのです。しかもアトラスロケットは、コスト競争力ではアリアンに適わず、米国政府の調達専用になっているロケットなのです。GXが国際的に通用する訳がありません。
 GXロケットは20機を製造した段階で一機75億円を予定しているそうですが、現時点で約90~100億円と見られるH-IIAの打ち上げ費用と比べても、7割~8割のコストがかかる一方で、低軌道への投入能力は、2トンでしかなく、最少構成でも10トンとされるH-IIAと比べ20%程度にしかなりません。
 これを低軌道への1トン当たりの打ち上げコストで比較すると、実にH-IIAの4倍に達するのです。
 打ち上げるものもないのに、JAXAのロケット屋が天然ガス燃料ロケットを作ってみたかったばかりに1000億円以上の予算を投入、しかも当初の構想のロケットエンジンの開発に失敗し、追加で、更に、1000億円を国際的にも競争力のないロケットに注ぎ込むのは、納税者に対する背信行為であるとしか言えません。
 情報収集衛星という名の偵察衛星は、日本の安全保障上、必要であると思いますが、何故、GXロケットで打ち上げる必要があるのか?何故、米国まで、持っていって打ち上げる必要があるのか判りません。その一方で、H-IIAは、打ち上げる機会が少なすぎて量産ができず、打ち上げ作業の簡素化合理化が行えずにいます。
 GXが偵察衛星打ち上げ専用ロケットになった処で、年間に1機の打ち上げ機会が得られるとは限りません。つまり、いつまでたっても、量産ができず、打ち上げ手順に習熟できない、従って高コスト構造から脱却できないというH-IIAの欠点がGXにも全て当てはまる事になるのです。
 安全保障目的だから予算が青天井だと思っているのだとすれば、もっての他です。宇宙開発も安全保障も巨額の費用がかかる割りに目に見えるリターンが少ないだけに、予算の効率的な執行義務は高いと考えるべきなのです。
 GXロケットの速やかな開発中止、及び偵察衛星打ち上げのH-IIAへの一本化、それによる打ち上げコストの削減を強く求めます。

 まったく、税金の無駄使いだったわけで、潰れて当然です。
 これまでに、かかった費用は2000億と大変な金額ですが、実際に研究に使われたのはどのくらいなのか判りません、スーパーコンピューターでも書きましたが、予算の半分以上が建物に使われるとか、まともに使われていないことは考えられますね。
 このプロジェクトに大きく予算が付いた理由は簡単で、 IHIや川崎重工、三菱商事、富士重工が出資したギャラクシーエクスプレスと言う美味しい天下り会社があったためです。
 まったく使えないロケットの開発をすることで、そこに天下る公務員の方の仕事が増える、天下り人員が政府からお金を引き出すことが可能な事業なら、JAXA内部でもプロジェクトの筆頭にすえる訳です。
 はやぶさプロジェクは、少数の研究者によるチームで、天下り会社を作る規模ではないようですからJAXAではあまり予算を回したくない、つまり、天下り先として使えないプロジェクトはいらないと言うことではないでしょうか。

はやぶさプロジェクトの関係者の方のブログです。
松浦晋也のL/D
引用開始
はやぶさ2にむけて:最後の障壁は身内にあり…か
 日本に帰ってきました。
 はやぶさの帰還を受けて、はやぶさ2を巡る動きが一気に活発化してきた。JAXA内における水面下の動きも急速に流動しているようだ。
 多くの人は、これだけの成果を挙げながら後継機「はやぶさ2」の計画が一向に予算が付かないのに奇妙さを感じているだろう。2006年初頭に2010年打ち上げを目指して検討を開始した「はやぶさ2」は2010年現在、2014年打ち上げという計画実行のぎりぎりまで来ているにも関わらず、まだ正式計画化していない。
 ネットでは民主党政権が悪いとする声もある。が、これまで取材してきた者としてはっきり言うが、民主党はこの件には関係ない。
 文部科学省も、あまり関係ない。2007年度予算折衝では、文部科学省側が「もっと予算を付けようか」と提案したにも関わらずJAXA側が断るという前代未聞の事態が起きている。
 このことから分かるように、はやぶさ2が開発フェーズに入れないでいる問題は、すべてJAXA内に原因がある。権限を巡るJAXA内の争いだ。これまでに色々な難題がはやぶさ2の前に立ちふさがったが、今現在、最後の障害となっているのは――大変悲しむべきことだが――ISASの理学関係者、組織としては宇宙理学委員会である。
以下、続く

 そう言えば、6月15日の参議院本会議の代表質問で、7年ぶりに帰還した小惑星探査機「はやぶさ」に関して、自民党の西田昌司参院議員との間でこんなやりとりがありました。
 国会中継でのこの場面の話は以下のようだった、と記憶しています。
 西田議員が、「後続機の開発費は、麻生政権の概算要求の17億円から、鳩山政権で5,000万円にしました。さらに事業仕分けで、3,000万円までに削られたのであります。パフォーマンスだけの事業仕分けを事業仕分けするべきと考えます」と言っておられて、これに対し、大臣として初めての国会答弁となった蓮舫行政刷新担当大臣は、「仕分けを行う準備段階に相当の時間をかけ、多くの人間が携わっておりますので、わたしのたった一言で決まることではございません。決して、パフォーマンスではございません」。と・・・・
 下準備が無かったと言っても、国会議員がマスコミの情報だけで質疑答弁するのはいかがなものか?
 本当のことを知っている人からすれば、滑稽な質疑答弁!所詮国会と言ってもこんなレベル、日本政府がまともに日本を舵とれないわけです。

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AUD/JPY買い77.500売り77.910

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