2010年7月27日火曜日

潰れる前に改革したい保険制度

疑問が尽きない高齢者医療の改革案
2010/7/24
 75歳以上の人を対象とする後期高齢者医療制度を廃止するために、長妻昭厚生労働相が設けた改革会議(座長・岩村正彦東京大学教授)が中間報告の案を出した。
 疑問が尽きない報告案だ。1400万人の対象者のうち1200万人を市区町村の国民健康保険に戻し、財政運営を都道府県単位に広げる。勤め続ける人や会社員などに養われている200万人は、企業の健康保険組合や公務員共済に移すという。
 だが今後さらに費用が増える高齢者医療の持続性をどう高めるのか、基本の考え方はみえない。肝心の財源論も素通りした。廃止ありきで始めた改革会議の混迷を映している。
 この会議を始めたとき、厚労相は方向性を示した。(1)年齢による区分けをやめる(2)国民健保の負担増に配慮する(3)高齢者の保険料が急に増えないようにする――などだ。
 この方向性は矛盾をはらんでいた。人は75歳を過ぎると病気やけがをする危険が急に高まる。自公政権がこの年齢層の人を国民健保などから切り離して別建てにしたのは、膨張する医療費を高齢者自身の保険料、現役世代が出す支援金、税財源を中心とする公費の3財源で分担する原則を確立しようとしたからだ。
 年齢区分をやめれば国民健保や健保組合の負担を増やす方向に働く。原則なき負担増に、自治体や健保の母体企業が反発するのは当然だ。
 それがわかっているから負担増に配慮すると言ったのだろう。報告案は公費と保険料による基金を設けるとしているが、財源をいつ、誰から、どう調達するかは示していない。
 高齢者医療のような膨大な医療費の配分を決める場では、財源論が避けて通れない。消費税の増税問題が絡み、政治的に大きな決断を伴う。学者や利害関係者で構成する改革会議の手に負えるものではない。
 高齢者の負担を大きくみせないような説明が並ぶのも気になる。保険料の伸びを抑えるために調整する、窓口負担を適切な水準にとどめる、などだ。しかし高齢者にも相応の負担を求めるのが、高齢化が加速するなかでの医療改革の大原則だ。
 公費分を除く高齢者医療費は、大半を現役世代の支援金に頼っている。報告案は大手企業の健保組合などの負担をさらに高める方向もにおわせた。取れるところから取ればいいと考えるのは安易だ。
 年金や税制を含め、若い世代の負担は相対的に重くなる一方だ。政府は高齢者に気を使うのと同じように、現役世代の医療費負担を過重にしない工夫を真剣に考えてほしい。

 後期高齢者医療制度は、最初増えつづける高齢者の医療費を医療を受ける老人に払ってもらおうと言うことでスタートするはずだったが、当時のマスメディアに弱い者いじめと叩かれ、急遽、骨抜き法案になってしまったはず。無料→1割負担→保険料負担とちょっただけ老人の負担が増えましたが、実際は9割ぐらい現役世代の企業保険や自治体の支援でなりたっている。
 このままでは、企業保険や自治体がつぶれてしまうので、医療を受ける人から負担をしてほしいと言うのが本音で、普通の流れのように思える。
 厚生労働省が二十三日明らかにした新たな高齢者医療制度案は、わずか八カ月でまとめただけに肝心な点が抜け、改革案から程遠い。
 廃止するにはどうするかと言う仕事に思える。現行の後期高齢者医療制度は七十五歳以上を一律に加入させるが、新制度案では七十五歳以上のうち無職や自営業者は市町村国民健康保険、サラリーマンや公務員の扶養家族になってい人は組合健康保険など被用者保険に加入する。現行制度下では家族が分断されるとの批判があったためだそうですが、本当の目的は?と疑問が残ります。
 例えば低年金受給の高齢者の場合、サラリーマンの子供の扶養家族になれば保険料負担を免れるが、一人暮らしで国保加入だと払わなければならない。今の制度では支払う人と払わなくても良い人とで高齢者間の格差が新制度案では起こります。
 ただ、扶養者になった場合、世帯主の保険組合の負担が増すので、保険組合の保険料が上がることになり、企業も半分出しているので、嫌がることになり、うがった見方をするなら、高齢者を扶養家族に持つ正社員は、肩たたき候補に近づくかもしれない。
 現行制度では高齢者と現役世代の負担割合を明確にするため、七十五歳以上の医療費のうち窓口負担を除く約五割を税、四割を現役世代からの支援金、一割を保険料として高齢者が納める仕組みになっており、新制度でもこの負担割合は変えないと言う。
 それから、老若の人口比を考慮した保険料の決め方は介護保険にも導入されているはずで、こちらはどうなるのか、それにも答える必要があります。
 高齢者加入分の運営主体は「都道府県」かどうか判らない、財政責任をめぐり市町村と都道府県が最も対立する点には触れていない。
 総じて新制度案には現行制度を改善するような内容が見えない、現行制度は世代間の公平性、財政難の国保への財政支援などを目指し十年の議論を経てつくられたが、スタート当初は周知徹底を欠いたことなどから批判が続出して、安易な変更を行い、現役や自治体の負担を減らすという目的がうやむやになり、問題が先送りされてしまった。今回、別の制度に変えるにしても、再び混乱を招かないように議論を十分に尽くし、このままでは制度自体が続かないので、本当の目的をしっかり説明して導入してほしい物です。

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2 件のコメント:

  1. 自民党は、後期高齢者医療制度は、もっと丁寧に説明をすべきでしたね。
    マスコミや野党は揚げ足取りしかできないのですから。
    若者がもっと選挙にいかにと色々な問題が解決しないように思われます。

    今、住んでいるところの自民党の市会議員の報告会に数回行きましたが毎回80%ぐらいが老人です。この議員は住民の意見を良く聴いてくれます。ある意味で、地域の利益代表で、住民にとっては利益優先で党が選択基準ではありません。

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  2. TXIさん、こんにちは
    若者が選挙に行かないことには、変わらないですねこの国は。
    もう、どうしようもなくなるまで変われないのではないかと、心配です

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