2010年8月21日土曜日

日本は「世界で一番冷たい」格差社会

ダイヤモンドオンラインから
雇用環境も福祉も欧米以下!
米国の著名社会政治学者が大警鐘
日本の格差問題も英米に比べればまだまし――。そう考える人は多いことだろう。しかし、ハーバード大学のマルガリータ・エステベス・アベ教授は、福祉機能で米国に劣り、雇用環境で欧州以下の日本こそが、先進国で一番冷たい格差社会であると警鐘を鳴らす。(聞き手/ジャーナリスト 矢部武)
マルガリータ・エステベス・アベ博士(ハーバード大学政治学部教授)
 日本で格差問題が悪化したのはアメリカ型の市場原理を導入したからではないか、との批判が高まっているが、これにはいくつかの誤解がある。
 アメリカは確かに国家の福祉機能が小さく、利潤追求と競争の市場原理を重視しているが、それがすべてというわけではない。市場原理にまったく従わない民間非営利セクターが大きな力をもち、福祉機能、すなわち社会を維持する役割を担っている。
 貧困者や市場で失敗した人たちの救済活動はその分かりやすい例だろう。
 非営利団体はホームレスのシェルター(無料宿泊所)を運営したり、食事や古着を提供したりしている。ハーバード大学の学生も忙しい勉強の合間にボランティアで恵まれない子供に勉強を教えたり、あるいはシリコンバレーで成功した人が社会貢献活動をするのがブームになったりしている。このようにアメリカには、政治に対する意識とは別に自分が社会に何を還元できるのかを考える人が多いのである。
 日本はアメリカと似て国家の福祉機能が小さく、また、「自助努力が大切だ」と考える人が多い。しかし、企業や社会にはじき出された人を守るシステムが弱く、家族に頼らなければならない。経済的に余裕のある家庭ならばよいが、問題は家庭内で解決できない時にどうするかである。
 意外に聞えるだろうが、生活保護の受給条件はじつは日本のほうが厳しい。アメリカでは個人に受給資格があればよいが、日本では家族の所得も事実上調査される。大学教授だった私の知人は裕福だが、息子は生活保護を受けている。日本だったら、まずあり得ない話だろう。日本の役所は生活保護の申請書をくれなかったりするが、他に助けてくれる所がないから行政に行っているのになかなか助けてくれない。
 ちなみに、アメリカ型の市場原理に対する批判はヨーロッパでもある。ただ、欧州先進国の多くは国家の福祉機能が大きく、「市場で失敗するのは個人だけの責任ではないので、国家が助けるのは当然だ」と考える人が多い。こうしてアメリカとヨーロッパ、日本を比べてみると、日本が一番冷たい社会のように思える。

 正規・非正規社員の賃金格差の問題にしても、同じ仕事をしながら賃金に大きな差がでるということはアメリカではあり得ない。もしあれば明らかに組織的な差別であり、企業は訴訟を起こされて何十億円もの莫大な賠償金を強いられるだろう。
 日本企業ではインサイダー(内輪の人間、つまり正規社員)の雇用保護が強いので、アウトサイダーの非正規社員が不利益を被ることになる。皮肉なことだが、日本が本当に市場原理を導入していればこのようなことは起こらないはずだ。
 本来は労働組合が何とかすべき問題だが、企業内組合なのでアウトサイダーのために本気で闘おうとはしない。
正社員の雇用保護が強い欧州ですら
非正規社員への賃金差別は許されない
 インサイダーの雇用保護はヨーロッパでも起こっており、日本特有の問題ではない。ドイツやフランスなどで若者の失業率が高くなっているのはそのためだ。しかし、ヨーロッパでは労働組合(産業組合)が強いので、非正規社員に同じ仕事をさせて賃金を低くするという雇用形態は許さないだろう。
 日本は非正規社員を守るシステムが事実上ほとんどないが、これは政治的に解決できる問題だ。政府がそれをしないのは、企業の反対が強いからだろう。
 しかし、日本企業もいつまでインサイダー保護を続けられるかというと、限界がある。製造業にしても正規社員が増えるわけではないし、これまでのやり方では社会保障などのコストが高くなりすぎる。正規社員が減れば厚生年金加入者も減り、受給者とのつじつまが合わなくなる。高度成長の時代ではないので、何が持続可能なのかをよく考える必要がある。最終的には日本人がどういう社会で生きたいのかということだ。(談

長い引用になりました。
私としては、正社員をけっこう長くやってから、リストラされた人なので、インサイダー雇用に甘んじてきた人間になります。
海外赴任から帰ってきてからの日本での仕事は、始め派遣社員の人が同じ職場に一杯いて戸惑いました。
日本の労働社会は結局、お年寄りの為の制度で固まっていたようですね。
しかし、派遣社員を設計までやると、製品を出して1年もすると、そのチームは解散していて、派遣社員は別の部署か辞めている場合が多く、カスタマークレームに対応できないと言うこともありました。
利益を求めるのが企業なのは判りますが、企業が存続することも使命なのに、社員をこのように扱うと先はありません。
日本の企業は技術者を軽く見ているので、技術が韓国や中国に流出してしまっています。
もう手遅れですが、雇用の考え方をもう一度考えた方がよいでしょう。

FX投資
AUD/JPY買い75.900売り76.028
AUD/JPY買い76.678売り76.794
AUD/JPY買い76.100売り76.311

2 件のコメント:

  1. 今の職場は95%が派遣社員です。入社2年以内の正社員より派遣社員暦3年の以上の者の方がレベルが高い事実があります。
    派遣社員は、時間給なのでランクにより格差はかなりあります。特に私のようは正社員暦が長い者とと比較するとものすごい格差になります。
    1年以内の派遣社員の中には、残業が最低でも10時間以上ないと生活できないと直訴する人もいます。特に夏季休暇が長い8月は大変なようです。
    現在の職場では、同がじ仕事を2年やれば正社員も派遣社員も仕事内容の差はありません。ただ、1ランク上のレベルにあがるにはそれなりの努力が必要です。派遣社員で3年以上でレベルが高いと認められた者は、契約社員として引き抜かれ、1から2年後に正社員として採用されます。現在4人ぐらいいるはずです。
    私は、派遣社員や正社員に対して仕事以外でのコミュニケーションはほとんどしませんが、派遣社員の1人だけとは仕事以外の会話もよくします。その派遣社員は、この職場は能力がなくても対応できる。本当に実力があればここで派遣社員なんかしていない。今までの派遣の中で1番楽だ。ただ、正社員の中に自分よりレベルが低いのに大きな顔をされるのが1番腹が立つのとリーダーがあまりにもいい加減なのがイヤだと言ってました。ちなみにこの派遣社員は5年近くいてそれなりのレベルですが、なぜか派遣社員のままです。また、契約社員を止めて派遣社員になった者もいます。この2人は生活基盤がしっかりしているので気楽な?派遣社員の方がいいようです。

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  2. TXIさん、こんにちは
    仕事は衣食住の為以外に意味を求めてはいけないって、書いてあった本を思い出しました。
    日本は、今後どうしたいのかなにも考えていないようです。
    仕事が少なくても(無くても)衣食住に困らないうちは変化はなさそうな気がしますが、若い人でこれが脅かさせるようになると、日本でも暴動が発生するでしょう。
    そこまで行く前に、政治的に解決するのか?とっても未来が暗いと思っています。

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