2010年11月3日水曜日

日本の株価が上がらない理由を挙げてみる

 私は、海外投資がメインで国内株式には投資をしていませんが、最近、日本株が上がらないという話題が出ましたので、なぜ上がらないか考えてみた(調べてみた)。
 まず日本株のインデックスの成績がここ1年どうなっているか、世界の株価と比較してみた。
 グラフはEXECLで作ってみました。
 どう見ても、日本の独り負け状態ですね、民主党政権になってから、11%も下げていますね。
 この間に、他の国々は株価を大きく上げています。
 回復を続ける世界の株式マーケットの中で、日本株の劣勢が明らかです。どうして、日本株だけ世界の騰勢から取り残されてしまったのでしょうか?
 まず、投資をする立場から普通にPERを見ますと、今の時点で
2010 Sep時点のPER
日本 24.1
USA 19.1
ドイツ 18.3
ブラジル 16.4
タイ 16.4
韓国 15.4
イギリス 14.0
先進国 17.8
 PERは株価が企業利益の何倍かを示すものですから、日本株のPERが大きいだけ、それだけ日本株が割高であることを示すことになります。もし、米国並みのPERであるべきと逆算すると、日経平均は6,000円台になってしまいます。
 日本の株価はPERから見ると、世界の中でまだまだ高い(爆)、おしまい!
 最近の出来高を見ると、海外から買いに来なくなっているのと、国内の個人がいや気がさしているうようです。
 これについては、以下のような理由があります。
株の価値を希薄化する大型増資
 昨年からの日本企業の増資合計額は、バブル崩壊後最高の5兆円に達する見通しです。
 最近は増資する必要もない会社まで株主を犠牲にして株式をいっぱい発行してくるのだから、日本株に不信感を持ってしまうのも無理はないでしょう。
 大手メガバンクだってコアTier1比率の新規制の導入が10年以上先送りされたのに、なぜか株主を犠牲にした巨額増資を平気でやる。
 経営努力でなんとかするのではなく、株主を犠牲にして楽して自己資本比率を上げようとするのだから、株主は頭にくるわけです。
 これは株主の立場から見れば、株式数の増加であり、一株当たりの価値が下がったことになります。
政策不在のデフレ
政府は日本はデフレに陥っているとデフレ宣言をしましたが、その後、何かしたの?それをどう克服するのか?政策の無策のままです。
 世界一の少子高齢国、障壁の高い国内市場、年金不信が拍車をかけた保守的な資金運用姿勢などなど、海外からは「積極的に成長を望まない国・日本」としか見えません。
中国やインドへ投資をする外国人投資家
 分散投資の考え方から、欧米の機関投資家たちは、アジア株をどの程度保有するというシェアを維持しながら資金を動かしています。かつてはアジア株といえば日本株がその代表的な存在でしたが、現在ではその地位は中国株やインドにお金が流れています。
 外国人投資家たちが新規資金をアジアを代表する中国に注ぎ込み、日本株の保有比率を引き下げるために徐々に撤退しているとすれば、日本企業の業績や将来性になんの陰りがなかったとしても、日本の株価は下がることになるわけです。

最近の株安の理由を5つのDで語る。
Dilution:増資
Deflation:デフレ
Dollar:ドル安円高
DPJ:民主党
Demography:少子高齢化

日本企業の利益率悪化
 個別投資をする場合は企業などの収益率も問題にします。
 しかし、企業日本企業の利益率の低さが際立っている。
 売上が大きくても効率が悪いから利益が全然でていません。
 景気のいい時でも大手電機会社は5%ぐらいとサムスン電子の足元にも及びません。皆で競合してみんなで潰し合うことで利益を圧迫することになってしまった。
世界一高い法人税
 世界中で取引のある企業なら、法人税を安い国に工場を作れば日本が多少高くても大きな問題にはならないが、日本国内でしかできない職種は高い法人税が影響を株価に反映されている可能性が高い。法人税が安ければPERが下がって株価上昇要因を作りやすくなるし配当も増やせて再投資もやりやすくなる。
円高
 円高で利益を圧迫したのも大きい要因です。
 労働集約型の企業でない限り、急激な円高で無ければそれほど大きな問題ではない。円高で安く原料や部品などを調達でき、更に円高によって電気代なども下がって、ある程度は相殺できる。
 しかし、製品の部品が国内の調達先企業で、これが労働集約型であったのならその企業は円高で収益が大幅に落ち込むか潰れる可能性が出てきます。
 もはや金属加工や電子部品マウントに技術差が無くなってしまっているから、その手の企業は昔と比べて円高に極めて弱い、電気機器などもデジタル化により、工場での作りこみのノウハウが少なくなっている。
 自動車産業のように系列が強く残っている場合は円高の影響が大きいですし、工作機械や造船なども労働集約的な側面が強く、円高に弱いことになります。

 ただし上場している企業の多くは資本集約型が主流であり、労働集約型企業もすでに工場を賃金の安い海外に移転しているケースが多いから、急激でなければ実際にはそれほど大きい影響は受けない。故に円高だけが株価下落要因であるとも思いにくい。

 円高で問題になるのは、日本の企業の場合、雇用規制でこれがあると再編統合が難しくなる。リストラも難しい。リストラコストは日本が世界一高いとさえ言われているのは、解雇規制によって割増退職金という餌でしか自主的な退職を望めないという点です。特別損失と共に企業体力まで奪って再投資が遅れてしまう。
 再投資が遅れるから生産性が上がる前に韓国や台湾のハイテク企業にシェアを奪われて悪循環になっているのが、今の日本企業と言えます。

 考えれば株価が上がらない理由などいくらでも出てくる。
 いずれにしても日本は民主党が政権を取ってからは社会主義へと政策が流れて産業政策はないがしろにされていることだけは間違いない気がします。
 お暇な方は、日本株価が上がらない理由を考えてみるのは、面白いと思います。

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