積立不足の年金

　国民年金法と厚生年金保険法の規程に基き政府は５年毎に財政の見直しを行っています。

　０９年２月の社会保障審議会作成の財政検証結果では、必要な０９年の年度末積立金は１４４兆円になっています。

　いまの現状は幾らあるかと調べてみますと、１０年８月の厚生年金収支決算では、残高１２０兆円しかありません。

　つまり今後厚生年金を払い続ける上で役人が計算している必要な残高１４４兆円に対し２４兆円も不足しています。

　ついでに、その計算はどんなと言うと、物価上昇率は１％、賃金上昇率は２．５％、運用利回りは４．１％というようなとっても甘い条件設定なんです。

　次に、国民年金は０９年の年度末に必要とされる積立金１０兆円に対し、実際の残高は７兆５千億円。

　国民年金は必要な積立額の７５％しかない。２つの年金合計で必要な積立額は１５４兆円だが実際にあるお金は８３％の１２８兆円となります。

　必要積立額に対して年金勘定が不足している大きな理由は、運用不振（０９年度は９兆円のプラスすがそれまでの損失が馬鹿でかい）。

　それに加えて５年前に作られた「財政見通し」が今となっては非常に楽観的なシナリオによることも「計算上の積立金」を増やすことになっています。

　楽観的なシナリオというのは、先ほどの書いた、物価上昇率は１％、賃金上昇率は２．５％、運用利回りは４．１％というような条件設定です。

　実際の日本の状況はデフレが続き、賃金も民間企業は低下しています。

　運用利回りは平均ではマイナスです。

　そして近い将来に「財政見通し」がシナリオどおりになるとも思えません。

　物価上昇は、日本の国力が落ちれば上がりますが、その時はインフレでなくスタグレーション、賃金は上がらず、保険収入は低下します。

　悪い意味で、国債の金利が上昇（国際暴落）で、運用の％は上昇するかもしれませんが、物価に追いつかない運用となり破綻します。

　もっと問題は、今の数字を見るだけでも、年金が破綻することが判っているのに、来年の予算編成を巡って議論になっているのが、基礎年金の国庫負担分２兆５千億円を保険料を厚生年金勘定から回そうという提案を出している。

　提案もとは、財務省。厚生年金勘定は残高が１２０兆円もあるから、少しくらい回しても良いと考えるのはおバカな官僚の発想です。

　現時点でも積立不足なものから、お金を拠出させるって言う発想は、今が良ければ先はどうなっても良いと言う考えで、これで今の日本がどのくらい危機的な状況になっているのか全く認識していないですね。

　勤労者と会社が折半で拠出した厚生年金は「給与の後払い」と言えます。

　もし財政状態が良くなって、貸したものを確実に返してもらえるなら貸して、利子つけて返してもらえますが、今後の経済が右肩上がりで、」人口が増えるわけもない状況では、返済原資の目処も立たない状態でお金を貸しては、共倒れになるでしょう。

　まあ、私が受け取る時期には厚生年金は貰えるとは思っていないが、払った分くらいは返してもらいたい気分です。

　税金も国民年金も健康保険も高い日本・・・リターンは安全とインフラ・・・これも10年後は怪しくなってきています。

　文句だけではいけないので、不足分をどうするか・・・必要なことは、直ちに消費税を引き上げて税収で国民年金の不足分を補うこと、これしかありません。

FX投資
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